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イスラエスから学ぶ、ビジネスを成功へ導く3つの「C」

過去最多の日本人ビジネスマンが
イスラエルを訪問

まずは、2017年を振り返ってみよう。2017年だけでも20を超える日本企業が、イスラエルに関わる提携、投資、拠点設立、企業買収などを行った。統計こそ出ていないが、私の感覚値であると、2017年にイスラエルを訪問した日本人ビジネスマンは過去最高に達したのではないだろうか。9月初めに開かれたスタートアップの祭典DLDの週には、1週間で200人以上の日本人ビジネスマンがかの地を訪れた。

2017年、イスラエルでは800社以上のスタートアップが設立された。イスラエルのスタートアップ企業の買収総額は2.5兆円(約230億ドル)、買収された企業も100社を超えた。「多産多死」――新陳代謝が良い状態は続いている。地理的に仮想敵国に囲まれ、天然資源もほとんどなかった国の状況から、「頭脳立国」イスラエルとしての絵を描き、したたかに実行してきた結果が出続けている。

日本とイスラエル双方の往来が増えてきていることは、喜ばしいことこの上ない。それに伴い、私が経営するイスラテックへの問い合わせ件数は2016年に比べ3倍程度となり、内容もより具体的なものが増えている。それだけ両国のビジネスマインドが醸成されている証左であろう。個々の問い合わせについては本連載ではお答えできないが、日本企業がイスラエルの「頭脳」をいかに活用していくか、ということを主眼に置いたビジネスの勘所について3つのポイントを記してみよう。

日本企業イスラエルビジネスの勘所3つの「C」

イスラエルを訪れたことのあるビジネスマンで、「いざ、ビジネスしよう」と思う方のなかには、イスラエルビジネスの難しさに直面している方も多いのではないか。

「よく話が変わる」「何をおいても交渉」など、イスラエル人とビジネスするやりにくさはあるが、相性が合う企業に出会った時、また、お互いの条件が合致した時など、これまで本連載でも再三再四論じてきた通り、彼らの技術力の高さ、優秀さの恩恵に預かり成功に導かれた日本企業も多い。

最終回の今回は、3つのポイントを軸に、彼らとうまく渡り合っていくための私なりの秘訣を論じてみよう。キーとなるのは、「コミュニティ(Community)」「コミュニケーション(Communication)」「カルチャー(Culture)」の3Cであろう。

コミュニティ

イスラエル現地の最先端の技術を活用しようとする経済活動は一筋縄ではいかないが、まず、単に現地事務所を設置するのではなく、現地「頭脳」を取り込む目的の経済活動のカギとなるのは「コミュニティ」であろう。

コミュニティの1つ目の要素は、自社の経営戦略に準じ、自社が必要とする技術領域がある程度特定されていて、そうした領域のトップ層100人程度(いわゆるその領域のイケている人たち)へのアクセスができることであろう。

「技術」は「人そのもの」である部分が大きい。メディア等で露出されるトレンド等を把握するのは比較的容易であるが、その次に来るトレンドを感じ取るには、「生」の人間との付き合い以上のものはない。AI(人工知能)、セキュリティ、フィンテック、自動運転関連技術とイスラエルが世界的にもトップを走る領域であれば、なおさらであろう。

2つ目は、その技術領域の理解であろう。自社としてなぜその技術を大事にするかは無論、技術そのものの動向、競合の動向、その技術を凌駕していく技術など、押さえておくべきポイントはいくつかある。

3つ目は、継続性。そのコミュニティと継続的につながっておくことであろう。そうしたトップ層の100人程度は、固定されるわけではなく、流動的である。仮にイスラエルに赴任してきて、そうした集まりに顔を出し続けるだけでは、成果は見込めないであろうし、この「コミュニティ」をうまく自社の活動に合理的につなげていく、自社独自の「コミュニティ」の存在が必要となってくる。

そのために必要なのが次の「C」のコミュニケーションである。

コミュニケーション

「コミュニティ」は、企業買収や提携、スタートアップとの連携を目論むアクセラータ・プログラムなどの企業の提携手法を問わず、重要である。仮に企業買収しても、買収後に「コミュニティ」をうまく活用できなければ、買収当時は見込めたであろう成果を、目論見どおりに上げることは難しいであろう。

次はコミュニケーションについてである。1つ目の要素は、その回数を増やすことである。今の時代は業界問わず変化が速い。これは最新分野であれば、なおさらである。イスラエルに拠点を構えなければ、頻繁にコミュニケーションをとることは現実的でないかもしれないが、必要なコミュニケーションの回数を多くとることである。シリコンバレーにも拠点を置く名だたるテクノロジー企業が、イスラエルにも拠点を設ける理由はここにある。現地に滞在し続けないと、頻繁にコミュニケーションをとるのはやはり難しいし、分からないことも多い。

2つ目は、論ずるまでもないかもしれないが、質である。日々の適切なコミュニケーションをとることはもちろん、周辺の状況が変わる中で自社の状況も柔軟に変えていける組織にしておかないと、コミュニケーションが成立しにくくなる。ある程度の権限を現地に持たせておくこと、現場でその判断ができる人間を配置しておくことであろう。「予算」と「権限」を現地に持たせておけば、ある程度の「質」が担保できる。

3つ目は、関係性。「コネクションが全て」と言われる一面もあるイスラエル。相性の良さといってもいいかもしれない。イスラエル企業の特徴を一般化して「こうだ」と言い切れる企業は少なく、100社あれば100通りの企業がある。「自社と相性の合う企業といかに早く出会えるか」「両社にメリットのある形で関係性を築けるか」がポイントであろう。これには、先に論じたコミュニケーションの「回数」と「質」が無論必要である。

カルチャー:日本企業のイスラエル化が「肝」

最後に、日本企業にとって一番課題になるかもしれないのが、先にあげた2つのC「コミュニティ(Community)」「コミュニケーション(Communication)」を実現していく組織を作ることであろう。これを実現する妙手は、企業のトップ自らが現地に赴くことであろうか。

「現場100回」「百聞は一見に如かず」の言葉通り、企業のトップが現地に行くことによって、知識だけでなく、肌感覚で理解が進むことが何よりも大きい。組織を変えて、権限だけ与えても、無理難題が来た時に肝心のイスラエル「文化(Culture) 」を理解しておかないと、柔軟な対応は難しくなってしまうであろう。

コミュニティとコミュニケーションの問題は、組織が変わらないと変えられない。ただ、トップ自らが現地に赴いたことがあるか否かによって、企業のカルチャー(Culture)をどう変えるかに大きく影響する。イスラエルに合わせた文化でないと、イスラエルではままならない。このことを身をもって感じ取ったトップがいるかいないかは、ビジネスの成否を大きく左右するだろう。

本稿では、イスラエルビジネスの勘所を論じてきたが、有り体に言えば、「日本企業のイスラエル化」が、日本企業のイスラエルビジネス成功の勘所であろうか。

日本とイスラエルを取り巻く状況は、私がこの連載を始めた2012年頃とは大きく変わった。ただ、両国のビジネスは融合、深化していく潜在的可能性からしたら、100分の1にも達していないであろう。本連載が、皆様のイスラエルビジネスのヒントとなり、成功につながれば、幸いである。(東洋経済オンライン)

 

イスラエルスタートアップ企業はグーグルやAmazon,Microsoftなど大手先進企業からも注目を集めています。日本でもイスラエル企業の買収は時々ニュースで出ますが、まだ結果が出るまでの時間が経っていない理由もあるのか買収してどうなったかという記事はあまり見かけません。買収したは良いが高くつき、赤字になったというニュースは見かけますが。。イスラエルに限らず成功しそうと踏んだ企業を買収することはある程度結果が出ているのでリスクは少ないのですが、そのぶん買収金額が高くつき、また自社の企業文化に融合するのには時間がかかってしまいます。大当たりはいらないので、また市場のトップにならずともリスクを抑えてちゃんと利益が出ればそれで良し、と言った風潮なのかもしれません。

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