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猛スピードで3兆円企業に!異色のCEOが導くAirbnb成長物語

この夏アメリカで、白人優越主義者による騒動が起こった際、Airbnbが取った対応は素早かった。

“Belonging Anywhere”、すなわち「どこにでも帰属している」というミッションを掲げる同社は、2017年8月12日にバージニア州シャーロッツビルで白人優越主義者が大規模な集会を行うのに先立ち、白人優越主義者だと判別されたゲストの予約を事前にキャンセルした。

人種や宗教等の理由で利用にあたって差別が生じないよう、Airbnbユーザーに誓約を求めた規約(Airbnb Community Commitment)に違反するという理由からだった。

民間の家屋の部屋を旅行者に貸し出す民泊マッチングサービスであるAirbnbは、昨年(2016年)11月にこの規約を導入していた。

利用者が急速に増大していく中、たとえば白人のホストが白人以外のゲストには宿泊を認めないといった傾向を指摘する調査結果が現れるようになったためだ。

Airbnbは、ACLU(アメリカ自由人権協会)の元幹部や、オバマ政権で司法長官を務めたエリック・ホルダーの協力を得て、この規約を定めていた。

“Belonging Anywhere”とは、要するに「どこであろうが疎外感を抱くような居心地の悪い思いはしない」、つまりは「日頃慣れ親しんだ住処のようにこの場所に馴染んでいる」という感覚のことだ。

CEOであるブライアン・チェスキーは、これこそがAirbnbが実現した価値であり、同社が世界中のユーザーに支持される理由であると力説している。

ブライアン・チェスキーAirbnbの共同創業者にしてCEO、ブライアン・チェスキー氏。1981年生まれ〔PHOTO〕gettyimages

ホテル産業や旅行産業によって規格化された、お仕着せの宿泊/旅行体験とは異なり、滞在先でそこに生活する人びとたちと同じ視線からその街を眺める。そのような等身大の経験を得られることがAirbnbの魅力である。

それゆえ、ホスト(宿泊先提供者)にせよ、ゲスト(滞在者)にせよ、「寛容さ」が求められる。

何の資産も持たない、本質的にホストとゲストのマッチングサービスでしかないAirbnbからすれば、「歓待」の実現こそが存在意義であり、信頼を維持していく上での生命線となる。

創業者の一人でもあるチェスキーが迅速な対応を取ったのも当然のことであった。

Uberとの決定的な違い

実のところ、Airbnbは世界中の都市で、「住居の短期貸し」の規制を巡って市政府とやり取りを交わし、すでに地方政治と深く関わってきた。そのため、何であれ政治的事件は他人事ではない。

そんなAirbnbの「来し方行く末」を知るのに最適な著作が『Airbnb Story』だ。

創業以来、彼らがどのような経緯を経て今に至ったかが、創業者3人の具体的言葉を含めて生き生きと紹介される。

Uberの場合、「送迎」という短時間で終わる利便性の提供に徹しているのに対して、Airbnbは、「滞在」という比較的長い時間の間に、ホストの部屋をその周辺の環境も含めて特別な経験に変えてしまう。

つまり、利用にあたっての文化的コンテキストが全く違う。

初期の利用者が、ミレニアル世代の若者たちによる、発見の旅、巡礼の旅のための安価な足がかりとなっていたことも頷ける。なにより、創業者たち自身がそうであった。

ブライアン・チェスキーという個性

Airbnb誕生のコミカルなエピソード、すなわち、ブライアン・チェスキーとジョー・ゲビアの創業者2人が金欠に陥り、家賃を払うために自分たちの部屋にエアマットレスを敷きB&B(ベッド&ブレックファスト)の宿泊サービスを提供したという、微笑ましいエピソードについては、直接本書を見てもらいたいのだが、なんだかんだいいながら、この創業のエピソードが、今に至るまでのAirbnbを象徴しているところがある。とりわけ、チェスキーによるこだわりは激しい。

かようにこの本は、楽しくておもしろい。現在も連載が続く青春小説のように読めてしまうところがある。だから本書については、経営書とかIT企業の話であるとかいって肩肘張ったりせずに、それこそケルアックの『オン・ザ・ロード』でも手に取る感じでページを繰るといい。

3人の創業者のうち2人がデザイナー出身の会社のキテレツな話を、女性のビジネス・ジャーナリストが書き記した、というのが、微妙にこの本を、経営書のカテゴリーからはみ出して、現代文化のスケッチのように読ませてしまう。

いい意味で、Airbnbのイージーゴーイングな、それでいてコーティシー(節度)に満ちた雰囲気をそのまま届けるような感じに仕上がっている。

もっともそれもこれもチェスキーのキャラクターに負うところが大なのだ。ソーシャルワーカーの両親による善行を近くで感じながら育った子ども。幼少の頃から絵を書くのが大好きで、それが高じてデザインスクールで学んだデザイナー。在学中はアイスホッケーチームのキャプテンも務めたマッチョなボディ・ビルダー。

チェスキーのキャラ立ちの凄さは一目瞭然だろう。とはいえ、お調子者といえばお調子者ではあるのだが。

よくも悪くも、ものを知らない。すでにウェブを使って起業しているのに、個人投資家としての「天使(エンジェル)」すら知らなかった。

それは仕方ないことかもしれないが、しかし現代アメリカ社会で高等教育を受けながら「ロビイスト」を知らない、というのはさすがにどうなのか? と思わされるような感じなのだ。

「知らないこと」を「知らない」ということを悪びれない。けれどもその分、学習意欲は高く、結果として、伸びしろが多いと思わされる。そんな「天然ちゃん」の雰囲気を漂わせているのがチェスキーだ。

天然ちゃんである分、キャラも立ち、クレイジーだ。

彼のトンガッた個性は、本書をよくあるスタートアップのサクセスストーリーにとどめない。彼の具体的発言や彼のバックグラウンドの記述が、Airbnbをただの民泊斡旋サイト以上のものであるかのようにみせてしまう。

簡単にいえば、なにか高邁な精神を現実社会に顕現させた姿がAirbnbであるかのような印象を与える。

この本を読んでいると、時折Airbnbが芸術家チェスキーの作品のように感じられる時がある。

もちろんAirbnbは会社であり、多数の社員の献身によって成り立っているのだから、彼の作品というのは錯覚だ。けれども、iPhoneがスティーブ・ジョブズ個人によって生み出された創造物であるかのように感じさせるのと同じ錯覚が、Airbnbとチェスキーの間にも感じられる。

ミケランジョロの壁画が、実際には彼の工房の職人によって作られたのににもかかわらず、それでもミケランジェロの作品とされるのに近い。映画監督のようなものだ。

そういえば、iPhoneやiPadの開発の背後には、よく知られるようにアラン・ケイの「ダイナブック」構想があった。

チェスキーに感じられる「高邁な精神」というのも、何かそのような時代精神なのかもしれない。RISD (リスディー:Rhode Island School of Design)で学んだチェスキーが現代社会の仕組みに対して鋭利な批判精神を抱いていることは間違いない。

RISDのキャンパスアメリカを代表する美大RISDのキャンパス〔PHOTO〕gettyimages

その精神はどうやら、Airbnbが成長していく過程で事後的に見出されているようなのだ。

チェスキーが自ら内省し、自分の心の奥底から、創業の頃にあったはずのアイデアの原石を拾い出してくる、という感じだ。その分『Airbnb Story』は、チェスキーの自分探しの旅の物語のように見えてくる。

面白いことに、彼自身、Airbnbをそのような「旅」のメタファーで語っている。

“Belong Anywhere”というミッションも、なにはともあれ、彼自身の願望のように思われてならない。幸運にもその願望は、期せずして彼と同世代である多くのミレニアル世代の心情を代弁していたようなのだ。

起業も一種の創作活動である。そのことをチェスキーは、走りながら直感的に感じている。「ある価値の生産過程を作る」、そのような抽象的な創作物を、会社という組織を作ることで現実化している。

もちろんチェスキーら創業者の創作物といえども、Airbnbはいまだ成長途上にあるスタートアップだから、日々、その姿は変貌する。組織も変われば、サービス内容も変わる。アプリのインターフェイスも変わる。常に変わるし、今後も変わり続ける。定まった形になることはない。

けれどもそれゆえに、Airbnbという不定形な作品の核/芯にあるものが重視される。

その「核」を見出す過程が、つまり「本当のところ、俺は何がしたかったのか、何をしようとしていたのか、何をすべきだったのか」という自問自答の繰り返しにつながる。

ともあれ、直観に従って、いやむしろ嗅覚にしたがって作り上げてしまったAirbnbという作品を、完成後、そんなものをつくってしまった動機を自ら探し、その意義をむしろ、社会的により大きな意味を持つものへと読み替えている。都合よく自分の記憶を書き換えているようなものだが、しかしその分Airbnbのポテンシャルが大きく見えてくる。

Uberのような機能的意味ではなく象徴的意義という点で、Airbnbは、チェスキーの言動を通じて他にはないユニークネス=ブランドを産み出している。

異色の起業家

もっともデザイナーによる起業が、シリコンバレーでは珍しかったことも効いていたのだろう。

実際、スタートアップとしては風前の灯火であった彼らを首の皮一枚でつなぎとめたのは、アクセラレータ(起業家向けのブートキャンプ)であるYコンビネーター(YC)を主宰するポール・グラハムであり、彼らを気に入った理由が、簡単には死にそうにはないゴキブリ並みの生命力であったことが、すべてを物語っている(YCについてはランダル・ストロス 『Yコンビネーター』が詳しい)。

Yコンビネーター

まさか窮余の策として作り出した、「オバマ・オー」と「キャプテン・マッケイン」という2008年大統領選での便乗商法のシリアルが、グラハムの心を掴むとはチェスキーたちも思ってはいなかった(詳しくは本書を見て欲しい)。

けれども「便乗」できるほど、あっという間に「オバマ・オー」のパッケージを作り上げてしまう機動力の高さ、そして「しぶとさ」にグラハムは感じ入ったようなのだ。

その意味でチェスキーとゲビアの2人が、シリコンバレーの常識から見て異色の起業家だったことは大きい。プログラマ同様、口だけでなく手も動かせる職人=デザイナーの強みが生かされた。

このように行き当たりばったりの起業物語が、まるでチェスキーの「やりたいこと」探しの旅のようにみえてきてしまう。それが本書に、いわゆる経営書とは異なる、曰くいい難い魅力を与えている。

Airbnbの成長譚が面白いのは、なんとなく直観でこれっていけるのでは? という感じで会社を立ち上げてしまった後、右往左往するうちに、セオリー通りなら本来、創立時にとりあえずでも一度は書き上げておくべき会社設立の青図が、むしろ事後的に、走っていくうちに明らかになっていくところだろう。

「なんで、こんな会社をつくってしまったんだろう?」――この問に創業者のチェスキー自身が答えを探そうとする姿を描いているのが本書なのだ。

実際、20世紀後半を席巻した現代文化にカウンターを食らわす、というのが、RISD(リスディー)出身のチェスキーらが描いてきたイメージであったりする。遅れてきたカウンターカルチャーというか、カジュアルになったパタゴニアというか、ともかくそんな感じなのだ。

その意味では、真の創業は、YC入りした2009年、特にサイト名をそれまでのAirbedandbreakfast.comからAirbnb.comに変えた2009年3月であったと考えるのが適切なのだろう。

売れなかったアーティストが所属レーベルを変え、さらに芸名を変えて出直したようなものだ。

YCについても、単なる会社設立者に過ぎない素人を、プロの「起業家」へと変貌させるプロダクションのようなものとして考えておいたほうがよいのだろう。

実際、YC後のAirbnbは、YCに縁のあるベンチャー・キャピタル(VC)――セコイア・キャピタル、グレイロック・パートナーズ、アンドリーセン・ホロヴィッツなど――からの出資に次々と恵まれ、成長の過程で必要に応じて、カネだけでなくヒトやモノといった経営資源の支援を適切なタイミングで受けることができた。

なにより、経営者としてはズブの素人であったチェスキーにとっては、YCや出資先のVCを通じて並みいる起業家/経営者へのアクセス権を得たことが大きかった。彼らを適宜メンターにすることで、日々舞い込む経営課題について直接教えを請う機会に恵まれた。学習意欲の高いチェスキーにとって、そのような良質のOJTが功を奏している。

このようにYCのようなアクセラレータがいたからこそ、Airbnbのようなスタートアップの経営が軌道に乗ることができた。

引退した野球選手やボクサーが、後続の育成に関わっているようなもので、この20年間あまりのバレーが産み出した成果として、よきアイデアを拾い上げる苗床が、シリコンバレーに用意されていた。

もっとも、そんなYCに、紆余曲折はあったものの、素人の起業家たちがサイト設立後半年くらいでたどり着いてしまったわけで、むしろこの事実は、チェスキーたちが引きの強い、強運の持ち主であることを表しているのかもしれない。

実のところ、経営者チェスキーを育んだのがYCであるとすれば、創業者チェスキーを形作ったのはRISD(リスディー)だった。

おそらくRISDが掲げる「クリティカル・メイキング」という教育方針が、チェスキーの批評精神につながっている(RISDの教えについては 『ロードアイランド・スクール・オブ・デザインに学ぶ クリティカル・メイキングの授業』を参照のこと)。むしろ、そのRISD精神は、Airbnbが急速に世界中に浸透し、一定の社会的地位を築いたところでより際立ってきている。

クリティカル・メイキングの授業

その一方で、本書の中でマーク・アンドリーセンが指摘していることだが、チェスキーには、デザイン・マインドだけでなく兵士のマインドもあるという。それはチェスキーが、卒業校であるニスカユナ高校に転校する前の2年間、軍隊式訓練とリーダーシップの教育に定評のある私立高校に通っていたことがあったからだ。

となると、アートの文脈でいえば「異化作用」を伴うような企画をあげておきながら、その遂行を「兵士の正確さと規律」を伴うリーダーシップで実施させてしまうところも得心が行く。

工房の親方のような、アイデアとリーダーシップの双方を備えた人物がチェスキーなのだ。

ところで、冒頭のシャーロッツビル事件に戻れば、ここで試されているのは、Airbnbの政治的プラットフォーム性だ。

Uberがタクシー業界という既存勢力と衝突しているように、Airbnbは、ホテル業界と対立しており、各地で宿泊事業の規制当局である市政府と交渉しなくてはならない。特に抵抗の大きい巨大都市(ニューヨーク、サンフランシスコ、ベルリン、バルセロナ)では、直接、市政府と争っている。

ただしこの活動は、副産物を産み出してもいる。市政の活性化だ。特に震源地のアメリカでは、規制当局が市政府であるため、市政のレベルに、それこそ大統領選クラスのツールや手法が導入されている。

チェスキーはシャーロッツビルで起こった騒動に、差別主義者のゲスト登録を抹消することで対処していたが、他でもないAirbnb自身、同じような市民の動員手法を活用しながらビジネスの妥当性について政府とやりあっている。

それもこれも、消費者はまた同時に有権者であり市民であるという観点を重視しているからであり、その結果、経済と政治が市政府のレベルでシームレスに繋げられているからでもある。

そうしてAirbnbの目的にかなうようなアプリ開発や、ホストを巻き込んだ動員プログラムが策定されるわけだが、Airbnbはすでにグローバル企業であるため、結果として、それら市政府と戦うためのアドボカシー・ツール一式がアメリカの外にも導入される。

こうして政治的アドボカシーの手法が、民間企業のAirbnbを通じて、世界の大都市に向けて輸出される。アメリカで生み出された政治的アドボカシーの手法という知の伝播が実現される。

つまりAirbnbが行っていることは、もはやビジネスではなく一種のムーブメントなのだ。

シェアリング・エコノミーの潜在力

これはシェアリング・エコノミーの興隆の予期せぬ副次効果といえる。

これまで潜在的にしか存在しなかった「非市場」だったものをAirbnbは顕在化させた。そうしてクレイトン・クリステンセンいうところの「破壊的イノベーション」を実現させた。

パタゴニアがどこまでいっても「個人による体制への抵抗」だったのに対して、Airbnbは「ソーシャルによる体制への介入」を図った。つまりはハッキング。市政のルールに介入し、マンションの設計過程に介入する。

これはデザイン・マインドというチェスキーの行動指針とも呼応する。

つまり、市政のルールに介入することも、Airbnb的利用を当初から織り込んだ建築物の設計を促すことも、ともに一種の「ソーシャルデザイン」である。そうして、社会のあり方そのものを変えてしまう。

要するに、「人間の住環境のあり方そのものを波及的に変えていく潜在力」こそが、シェアリング・エコノミーのポテンシャルである。

その意味でおそらくは、「シェアリング・エコノミー」を「共有経済」と訳すのはミスリーディングだ。まったく「共有=共同所有」はしていないのだから。

特定のある人物が所有する資産を公開して時間貸しするのが本質だ。だから「開放利用」を縮めて「開用」くらいが妥当な表現だろう。プライベートなものを人びとの目から隠し通すのとは真逆で、プライベートからパブリックに向かうベクトルだ。

いわば絵画コレクションを、一般の観覧に開放するようなものだ。

その「開放者」が従来は、巨大資産を持つ個人や組織に限られていたのが、普通の人たちでも「それなり」に開放利用に加わることができるようになった。それがシェアリング・エコノミーの意味することだ。

当然、対価を伴うため、シェアリングに参加する人びとの動機もさまざまで、Airbnbの場合でも、利用数の爆発的拡大に伴い、創立期に見られたような善行のために加わる人もいれば、単に格安宿泊サービスとして利用する人もでてくる。ユーザープロフィールも多彩になる。

だからこそ、チェスキーは創設時にあった「歓待」の要素を何よりも大事にする。

そうして初めて旅先を異空間ではなく「もう一つの日常」として感じることができる。そのような体験の提供が、Airbnbの本道であり、そこから、この先、旅先の経験の全てに関与するホスピタリティ主体のサービスへと向かう方針が生まれる。

もっとも、さしあたってAirbnbを敵視するホテルチェーン業界の成立も、たかだか20世紀後半のモータリゼーション以後のことにすぎない。だからモータリゼーションによる社会習慣など、せいぜいが過去50年ほどの間に定着したルールなわけだ。その書き換えは、数百年をかけて社会に根付いた伝統や慣習を変えるのとわけが違う。

だからアメリカでは、正規のデモクラティックな手続きを経て、業界を縛るルール=法律を変えればよい、という政治過程の話に転じることになる。

したがって、この先もAirbnbは、アメリカの地方政治――巨大都市の市政府や州政府――と対峙していくことになる。

もちろん、民泊ブームの背後には、ホテルチェーン登場以前にあったかつてのB&B時代に対するノスタルジアがあるのも確かなことだ。

これを、産業技術が産み出したマス社会に対する「批判行為」として捉えるなら、その根本にはチェスキーがRISDでそれと気付かずに培った批評精神が生かされている。その上で、マス社会を支える20世紀的産業技術に対抗するのが、分散社会を支える21世紀的な情報技術となる。

だとすれば、そうした歴史的転換にタイミングよく居合わせた強運こそが、やはりチェスキーたちの強みなのだろう。

そのようにして「時代の子」として見えてしまうところが、何にも増してAirbnbの不思議な魅力の源泉だ。

その意味でブライアン・チェスキーはスティーブ・ジョブズの再来となるのだろうか。もっとも当のチェスキーからは、敬愛するウォルト・ディズニーの名が所望されるのかもしれないが。(現代ビジネスプレミアム)

 

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