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AIは弁護士の職を奪うのか、「喪失」から機会「創出」へ

人工知能(AI)の登場により、一部の職種は雇用が奪われてしまうとの予測がある。膨大な判例や法令を扱う法律の分野はその代表的な1つとして名前が挙がるが、使い方によってはAIは力強い味方にもなる。韓国では先行して、弁護士がAIを積極的に活用し、法律の世界を変えようとする動きが進んでいる。

 インテリコンメタ研究所のイム・ヨンイク弁護士。写真は、法律を可視化したナビゲーションマップ「U-LEX」の試作版

2017年6月、英国で開催された世界法律AI会議「ICAIL」。期間中にはAIを使って司法試験を解くコンテストがあり、韓国のベンチャー企業、インテリコンメタ研究所が優勝を勝ち取った。世界中の企業や機関が参加するなか、前回の日本大会に続いて2連覇した。
「法律分野はAIの活用で、より画期的で便利なサービスが生まれる」。こう話すのは、インテリコンメタ研究所のイム・ヨンイク最高経営責任者(CEO)。10年に設立した同研究所は、技術力やコンテストでの実績などが評価され、韓国などで有望なベンチャーとして知られている。

イムCEOはもともとソウル大学で生命科学を専攻していたが、米国留学中に法律とITを組み合わせた「リーガルテック」に興味を持った。「医学とAIを組み合わせたサービスは既にあるが、AIと法律はまだない」と考え、この道に進むことを決めた。帰国後、一から法律の勉強を始め、司法試験に合格。10年にインテリコンメタ研究所を設立した。

強みは独自開発のAIアルゴリズム「アイリス」だ。日常で使う単語や長い文章を理解する自然言語処理の技術を活用し、法令や判例など法律の構造を分析。真偽を判断して法的根拠を提示することなどができる。

11月末、同社は韓国向けの法律ナビゲーションシステム「U―LEX」を発表した。同製品は、まるで地図のように法令や判例を探せるいわば「法律マップ」。例えば「暴行 離婚」と入力すれば、関連する法律や過去の法令などがずらりと表示される。文字が並ぶのではなく、ネットワークを示すように枝分かれした形式で表示されるため、誰でも簡単に法律に関連する資料を探して見ることができる。

今後は日本やドイツの法律への適用も考えている。同システムを活用し、簡単な法律の質疑応答システムの開発も進めている。利用者が気軽に法律の知識を得られるだけでなく「若手弁護士の仕事の補助や、弁護士になるために勉強している学生などにも活用してほしい」とイムCEOは語る。

英国の法律学者、リチャード・サスカインド氏は「近い将来、AIの破壊的なイノベーションにより法律家の未来は明るくない」と予測した。しかし、イムCEOは「法律分野でAIは危機であり、機会でもある」と強調する。若者にとっては新たな知識を早く取得できる手段になり、ベテラン弁護士にとってはミスや取りこぼしを防ぐための補助として役立つと見るわけだ。

AIは決して雇用を奪う存在ではなく、自分の能力をより高め、支えてくれる「パートナー」となる。そして「喪失」ではなく新たな機会の「創出」に導く。法律分野におけるAIの役割は、今後大きく見直されそうだ。(齊藤美保 日本経済新聞)<

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