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AI人材争奪、世界で70万人不足 日本勢は米中に後れ

世界で人工知能(AI)の専門家の争奪戦が過熱している。車の自動運転や顧客データの解析、音声認識や顔認証システム――。経済のデジタル化が進むなか、ビジネスの多くの場面でAIに精通した技術者が求められる。世界では70万人のAI人材が不足しているとの調査もあり、21世紀の技術覇権を争う米中は人材獲得に火花を散らす。年功序列型の給与制度を残す日本企業は太刀打ちできるのか。

米ルイジアナ州ニューオーリンズ。ジャズの街で2月に開かれた米AI学会の「公用語」はさながら中国語のようだった。アリババ集団や騰訊控股(テンセント)など中国のネット大手が勧誘にしのぎを削り、専門知識を学んだ学生が能力を発揮できる職場を探そうと群がる。

テンセント傘下の研究機関がまとめた「AI人材白書」によると、世界の企業が必要としているAI人材は約100万人。これに対し実際に活動している専門人材は30万人しかいない。関連する研究機能を備えた教育機関は世界に約370あるが、輩出できる人材は年2万人。圧倒的な人材ギャップを埋めるため、企業は国境を越える。

米グーグルは2018年春、北京に「グーグルAI中国センター」を開設。研究者の募集要項には「全く新しい理念をもたらす技術者を求む」とある。イノベーション(創造)を先導するような優秀な学生を中国で取り込む狙いが透ける。

AIを巡っては米中が激しいつばぜり合いを繰り広げる。「20年に先進国に肩を並べ、30年に世界のリーダーになる」。中国は17年夏、国家レベルのAI発展計画を発表した。一方、米国は18年5月、ホワイトハウスにトップレベルの技術者らを招き「AIサミット」を開催。「米国がリーダーシップを死守する」と宣言した。

世界で生成されるデータ量は25年に163兆ギガ(ギガは10億)バイトと16年の10倍に膨らむ見通しだ。この膨大な量のデータの活用法を考えるのが、高度な数学や統計、情報処理の知識を持ったAI技術者の仕事だ。

優秀な人材を得ようと水面下では札束が飛び交う。米シリコンバレーでAI関連サービスを手がけるパロアルトインサイトの石角友愛・最高経営責任者(CEO)によると、「データサイエンティスト」と呼ばれるデータ分析家の平均年収はフェイスブックで4500万円。グーグルやアマゾンもほぼ同水準で「IBMなど大企業ですら確保に苦労している」という。

自動運転や画像識別などAI人材は至る所で求められる(トヨタの自動運転のコンセプト車)

自動運転や画像識別などAI人材は至る所で求められる(トヨタの自動運転のコンセプト車)

日本の劣勢は明らかだ。経済産業省によると、IT(情報技術)人材の平均年収は米国の約1200万円に対し日本は約600万円。米国では全産業平均の2.4倍を出して人材を集めているのに対し日本は1.7倍と開きは小さい。中国やインドでは7~9倍に達する。

同省がIT企業社員に聞いた調査では、勤務先の給与制度を「完全な年功序列」と答えた人が7%。「年功序列ベースで、能力・成果によりある程度違いがある」も含めると5割以上で年功序列が残る。硬直的な給与システムを残したままでは、AIを軸とする世界の技術開発競争で戦えないのは明らかだ。

「7人の天才と50人の逸材求む」。衣料品通販サイト「ゾゾタウン」を運営するスタートトゥデイの前沢友作社長は自らのツイッターで機械学習といった高度な知識をもつ技術者を募った。提示した最高額は年収1億円だ。

トヨタ自動車は1月、ギル・プラット氏を副社長級に昇格させた。かつて米国防総省でAI関連のプロジェクトを率いたスペシャリストだ。3月には自動運転の先端技術開発を進める新会社を開設。グループ投資額は3千億円を超え、AI人材向けの新人事制度を導入する。

ただ、潤沢な予算や魅力的な研究材料を提供できる日本企業は多くない。企業任せではなく、国をあげてAI人材を底上げする取り組みが不可欠だ。

滋賀大学は17年4月にデータサイエンス学部を新設。横浜市立大学や広島大学も今春、同様の学部をつくり志願者が殺到した。だがAI研究で修士課程を終える学生は年に2800人しかいない。東京大学の松尾豊特任准教授は「AIを活用すればロボットなど日本の強みをさらに伸ばせる」と国を挙げた人材底上げの必要性を訴える。

「デジタルの世紀」を競うように切り開く米中両国。それが激しい両国間の貿易摩擦につながっており、中国の追い上げに神経をとがらす米国の人材囲い込みが激しくなる可能性もある。世界的な獲得競争のなかで日本はAI人材をどう育て、生かすのか。国家の覇権争いを左右することになってきた。(日本経済新聞)

 

AI人材の前に中小企業ではIT化もまだまだなところがたくさんあります。またAIやIoTなどどのように導入したらいいのか分からない経営者も少なくありません。講習会や説明会は盛んに行われていますが経営者の勉強会が必要かもしれません。

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