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目指すは「AI/IoTの街」―― 柏の葉IoTビジネス共創ラボが発足

日本におけるスマートシティの先駆けである「柏の葉スマートシティ」(千葉県柏市)で2018年6月21日、IoTを活用したビジネス創出と社会課題の解決を目的とする「柏の葉IoTビジネス共創ラボ」の設立発表会が開催された。2019年春に設立が予定されているAI研究拠点も連携し、「AIとIoTの街」を目指す取り組みが始まる。

LPWA基地局の設置を皮切りに、ここ柏の葉でいろいろなIoTの取り組みが進んできた――。

2018年6月5日に設立された「柏の葉IoTビジネス共創ラボ」の幹事企業である三井不動産で柏の葉街づくり推進部/ベンチャー共創事業部 事業グループ長を務める三宅弘人氏は、今回の設立の背景についてそう述べた。


(左から)三井不動産 柏の葉街づくり推進部/ベンチャー共創事業部 事業グループ長の三宅弘人氏、
柏市 経済産業部 商工振興課長の小島利夫氏、
柏の葉アーバンデザインセンター ディレクターの後藤良子氏

柏の葉では2017年に、LPWA規格の1つであるLoRaWANを使ったIoT実証フィールドが構築された。東京・秋葉原から柏の葉を経由してつくば市に至る、つくばエクスプレス(TX)沿線をカバーする大規模なLoRaWAN実証環境であり、同年末から2018年2月にかけて、これを活用した「柏の葉IoTハッカソン」を開催。200名を超える参加者を集めた。

今回設立された「共創ラボ」はこのハッカソンが土台となっており、上記のLoRaWAN実証フィールドを継続して活用しながらさらに多くの企業を巻き込み、IoTを活用した社会課題の解決と新産業の創出に取り組むのが狙いだという。


柏の葉キャンパス駅を中心にTX沿線全域をカバーするLoRaWANエリアを構築した

「広域LoRaWAN+Azure」のIoT実証環境
「IoTビジネス共創ラボ」とは、2016年に日本マイクロソフトが主導して設立された、IoTプロジェクトの共同検証等を行うことを目的とした企業間コミュニティである。会員数は現在492社で、8つのワーキンググループが設けられているほか、これまで“地域版コミュニティ”として北海道など4つが設立されていた。柏の葉は5番目に名乗りを挙げたかたちだ。

なお、前述のIoTハッカソンでもIoTデータの管理・分析基盤として日本マイクロソフトがAzureを提供しており、共創ラボでも同プラットフォームを利用したさまざまな実証、トライアルを実施する。

三宅氏は「共創ラボでやっていきたいこと」として、(1)コミュニティの情勢、(2)最先端の技術・情報の提供、(3)事業化・実証実験の支援、(4)街づくりを通じた社会課題の解決の4つを挙げた。特に、「柏の葉には公民学連携で事業化を支援する仕組みがあることが他の街との違い」と強調。当初から参画する8社を核としながら、さらに多くの企業・団体を呼び込み、コミュニティを拡大していきたいと意気込みを語った。

事業化・社会実装を柏市も強力にバックアップ
柏の葉の取り組みで特徴的なのが、IoTソリューションを開発・提供するベンダー側からではなく、柏市や、柏の葉で街づくりを推進する「柏の葉アーバンデザインセンター」(UDCK)側が“IoTで解決したい”課題を提案し、技術を持つベンダーとともにソリューション開発、実証、そして社会実装と事業化を進めていこうとしている点だ。

その例として、柏市  経済産業部 商工振興課長の小島利夫氏は、先に行われた柏の葉IoTハッカソンで柏市が提案した課題を紹介。「柏市には工業用水がなく、市の水を使って賄わなければならない状況にある。そこで、LoRaWAN等を使って効率的な水の循環、再利用を実現したい」という課題を提起したという。

共創ラボでもこうした取り組みを進めつつ、さらに参画企業向けの支援策も充実させていくという。


2019年設立予定のAI研究拠点も連携して新産業創出に取り組む

例として小島氏は、2017年7月31日に施行された「地域未来投資促進法の第一号同意を得た」ことを紹介した。この承認に大きく影響したのが、2019年春に柏の葉に設立される予定のAI研究拠点だ。東京大学と産業技術総合研究所(産総研)が設立するもので、柏の葉アーバンデザインセンター(UDCK)でディレクターを務める後藤良子氏は「世界最高水準の研究者が集まる」と述べた。

小島氏は「この拠点をプラットフォームとして成長が期待される企業との連携を作る。地域経済を牽引する企業を育てたい」としたうえで、柏が「AIの街と言われるところまで持っていけたら」と展望した。

また、2018年6月5日に施行されたばかりの「生産性向上特別措置法」に基づく施策も発表された。生産性向上を目的に先端設備の導入を行った企業に対して固定資産税の減免等を行う制度で、柏市では設立発表会の前日に「固定資産税を3年間ゼロにする条例が成立した」(小島氏)。

産業用ドローンから“IoTまくら”まで、様々な企業が参画

柏の葉IoTビジネス共創ラボは三井不動産と、産業用ドローンを手がけるドローンワークスが幹事企業を務め、柏市とUDCK、ベンチャー企業の支援活動を行う一般社団法人 TXアントレプレナーパートナーズ(TEP)、東京大学フューチャーセンター推進機構が運営に協力する。


参加企業の代表者による記念撮影

 

このほかの参画企業は以下の6社だ。

先述のLoRaWAN環境を構築し、2018年から全国で通信サービスを提供するセンスウェイは、共創ラボの活動に対して通信サービスを無償提供。また、検証用機材も貸与する。

産業用ドローンを手がけるThink NEXTは、オープンソースソフトウェアをベースにカスタマイズしたフライトコントローラを開発・提供する。

大日本印刷は、同社が手がけるプリンテッドエレクトロニクス事業において、IoT技術を用いた製品の開発等を進める。

京都府与謝野町などとLoRaWANを用いた農業IoTを進めているTrexEDGEも参加する。農作業における無駄を可視化して改善につなげるIoTソリューションが同社のウリだ。

柏の地元ベンチャーで、まくらの製造・販売を行うまくらは、就寝中の体調等をセンシングするIoTまくらの開発を進める。

最後に、一般社団法人 防災・防犯自販機協会は、電源が確保されている自動販売機をIoTに活用することで、自販機を設置するロケーションオーナーや、自販機を運用するオペレータに新たな付加価値を提供するサービスの開発を目指す。

 


柏の葉IoTビジネス共創ラボの目的と参加メリット

 

共創ラボの具体的な取り組みとしては、参加者同士の情報交換や協業のきっかけづくり、イベント参加によるプロモーション機会の提供、実証実験や実装機会の提供などを行っていくという。後藤氏は昨年に引き続き、「IoTハッカソンの開催も考えている」と語った。

 


ドローンワークス 代表取締役の今村博宣氏

 

また、幹事企業を務めるドローンワークスの代表取締役 今村博宣氏は、「他の地方部にはないが、勉強会も行っていきたい」と述べた。位置情報活用やロボティクス、農業、スマートホーム、レジャー、ヘルスケアなど様々なテーマのワーキンググループ、勉強会を検討しているという。(business network.jp)

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