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中国で大人気、「シェア自転車」がはやるワケ

今、北京や上海といった中国の大都市に行くと、オレンジや黄色の自転車に乗った人を多く見かけるだろう。中国で爆発的に拡大しているシェア自転車だ。

■GPSで自転車検索、乗り捨て簡単で人気の「Mobike」

 オレンジと銀色の自転車は「Mobike(摩拝単車)」。車体にはGPSと通信チップが内蔵されていてスマートフォン(スマホ)のアプリで空いている自転車を探すことができる。

 

 認証が終われば、利用は簡単だ。アプリのカメラで自転車についているQRコードを読み取るだけで開錠される。目的の場所に着いたら、鍵をかければ、それが返却になる。鍵をかけたとの情報が車両からセンターに送られ、自動的に決済される。アプリ側にも完了を認識した旨が表示され、利用料金がわかる。

 このような仕組みのため、途中で自転車を駐輪し、買い物などをした後にまた同じ車両に乗るといった使い方は難しい。ただし、別の車両をすぐに見つけることができるので、あまり気にならずに利用できる。

 自転車の故障についてもユーザーがアプリを通じて故障発生を知らせることが可能だ。故障連絡が入っている車体は利用しようとしても解錠できない。

 料金は中国ネット通販最大手、アリババ集団のスマホ決済サービス、アリペイ(支付宝)や中国で最も利用されているチャットサービス、ウィーチャット(微信)の決済サービス、ウィーチャットペイ(微信支付)で支払う。

 サービス開始当初に並んでいた車両は利用料金が30分1元(約16円)で車体もかなり重く、こぐのに力を要した。その後、30分0.5元で車体も軽い「Mobike Lite」が投入された。自由に乗り捨てられるので、場所によって車両の数が偏ってしまうこともあるが、夜間などにトラックで自転車を運び、配置場所を調整しているようだ。既に20を超える都市で10万台以上が配置されている。

 なお、利用前にはユーザー登録が必要だ。まずパスポートなどの身分証明書画像を送信し、本人認証をする必要がある。また保証金として299元(約5000円)を支払わなければならない。

■ITレベル低いが、低料金で人気のofo

 Mobikeと競うように規模を拡大しているのが黄色い自転車の「ofo(共享単車)」。MobikeよりもITの活用度は低く、GPSなどは内蔵されていない。アプリで車両番号を入れると鍵の番号が送られてきて解錠する。返却したら鍵をかけ、アプリで「乗車終了」ボタンを押して、料金を払う。

 

 通常の鍵を使用しているため、鍵の番号を他の利用者と融通し合うと、無料で利用できてしまうという弱点がある。そのため、ofoの運営会社は中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)や通信大手の中国電信と組んで、通信を利用して開閉するタイプの鍵に変えていく方針を打ち出している。

 料金は30分1元とMobikeより高いが、保証金は99元とだいぶ安い。ofoは進出都市の数ではMobikeを上回っており、すでに40近い都市でofoの黄色い自転車を利用することができる。

 さらにMobikeやofoのほかにも、次々と新しいシェア自転車が登場している。中国では、商機があると見るや多くのプレーヤーが市場になだれ込んでくることがよくあるが、シェア自転車もその様相を呈している。上海では、オレンジのMobikeや黄色のofo以外にも、水色や緑、青など様々な色のシェア自転車が置かれており、色とりどりの自転車がずらりと並ぶ姿は壮観だ。

 中には先行するMobikeやofoとの差別化を狙ってか、中国で人気が高い電動自転車のシェアサービスも始まっている。料金は30分2元(約32円)。ただし、このサービスには、バッテリー残量の問題がある。バッテリー残量が少ない状態で乗り始めると、すぐに電動走行ができなくなってしまう。街中でシェア用電動自転車のバッテリー交換の現場を見かけたこともある。バッテリー交換が頻繁に起こるようだと、運営コストもバカにならないだろう。

■公共サービスは観光に使えるが生活者には不便

 これまでも、政府が提供する公共の貸し自転車はあった。例えば、浙江省杭州市(2016年G20会場となった地、西湖が観光地として有名)では、非居住者向けの交通カード(Zカード)に現金200元(約3200円)以上をあらかじめチャージすれば、貸し自転車を利用できる。1時間以内は無料、1時間から2時間までは1元など料金もお得だ。海外からの観光客でも利用できる。

 だが、公共の貸し自転車は、決められた場所まで行って借り、決められた場所に返す必要があるなど、生活者の足としての利便性が低く、新興のシェア自転車サービスに比べるとあまり利用されていない。

 現在のシェア自転車は、空いている自転車があればどこでも簡単に乗ることができ、自転車を止めていい場所であればどこでも乗り捨てられる。例えば、上海では歩道に引いてある白線内であれば、自転車やバイクを止めることができる。

■自転車大国が復活か

 また、かつて自転車が主要交通機関だった名残からか、ほとんどの道路には自転車や電動バイクが走る専用レーンがある。中国の大都市は渋滞が激しいため、近場の移動であれば自動車よりもシェア自転車の方が速いケースもある。料金もバスと同等かそれよりも安い。こうした中国の環境が、シェア自転車の拡大を後押ししている。

 一方で、各社が自転車を競うように増やしていることで、違法駐輪などが社会問題になっている。山積みになったシェア自転車や、違法駐輪の車両を撤去したことでシェア自転車だらけになった一時保管場所の様子などが中国メディアで報じられている。また、川に捨てたり、木に引っかけたりするなどぞんざいな扱いをするユーザーもいる。

 こうした問題を差し引いても、日常生活の短距離移動の足として生まれたこれらのサービスは、大都市圏に暮らす人々にとって非常に便利であることは間違いない。

 現状、利用には中国国内銀行の口座と紐付いていることが前提になるアリペイやウィーチャットペイを使えることが必須なため、短期の旅行者が乗るにはハードルが高いが、チャンスがあれば使ってみると、また違った中国の景色が見えてくるだろう。(NIKKEI)

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