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ドイツの スタートアップ事情 スタートアップのハブ的存在

ドイツの
スタートアップ事情

欧州の中心的な都市の中でも比較的物価が安く、さまざまな人種が暮らす多文化共生が根付いているベルリンを中心に、多種多様なスタートアップ企業が生まれ続けているドイツ。実際にドイツで事業を展開している日独スタートアップ企業のインタビューをはじめ、ベルリンスタートアップのハブ的存在である「ファクトリー・ベルリン」のレポート、そして私たち日本人がドイツでスタートアップ事業を展開するためのヒントなどを紹介していこう。Text:佐藤ゆき

ベルリン、スタートアップのハブ的存在コワーキングスペースからイノベーターのコミュニティーへつながりからビジネスを生み出す場 「Factory Berlin」

ドイツのみならず、欧州のスタートアップの中心地でもあるベルリンには、関連するイベントや施設が数多く存在している。そんなクリエイティブで新しいビジネスが生まれる街で起業家たちが集まるハブ、Factory Berlin(ファクトリー・ベルリン)の現状を同地でテックライターとして活躍している佐藤ゆき氏がレポート。

スタートアップ都市としてここ数年勢いを大きく伸ばしているベルリンでは、スタートアップ関連のスペースも急増中だ。ミッテ地区のベルリンの壁記念館のそばにあるFactory Berlin(以下Factory)もそんなスペースの一つで、2014年の夏にオープンして以来、ベルリン内外のスタートアップや起業家、投資家、大手企業などから注目を集めてきた。

スタートアップ関連のスペースというと、多くの方が「コワーキングスペース」を想像するようだ。実際、Factoryもオープンしてから最初の1~2年は、1階の部分を通常のコワーキングスペースの形態で、1デスクにつき月額300ユーロ程度で貸し出されていた。だが、その後2016年の夏になって、Factory は「ここはコワーキングスペースではありません、ビジネスクラブです」と言い、突如新たなコンセプトを掲げた。以来、彼らは「イノベーターのコミュニティー」を看板に、求心力のあるコミュニティーの形成に努めている。

ワークスペースからコミュニティーへと、コンセプトを転換させたFactoryが現在目指しているのは、単に仕事をする場所ではなく、新しいアイデアを持った者同士が出会える、そしてその出会いを通じて新たなビジネスやプロジェクトが生まれる場所、つまりイノベーションが起こる環境であることだ。イノベーションが起こる環境づくりといっても、無論それは簡単なことではないが、Factoryは質の高いコミュニティーづくりに注力することでそれを実現しようとしている。

Factory Berlin

ミッテキャンパス。メインはオープンデスクだが、パートナー企業用の個室や
メンバーが活用できる会議室もある

Factory Berlin

ミッテキャンパス。正面より

たとえば、コミュニティーのメンバーになるためには基本的にFactoryの審査を通らなければならない。筆者自身もここ2年ほどFactoryのメンバーであるが、最初にメンバー申請をした時にはグループ面接を受けた。その際に尋ねられたことで印象に残っているのが「あなたはどのような形でコミュニティーに貢献できますか?」という質問だ。

この質問からも分かるように、Factoryが求めているメンバー像は「自発的にコミュニティーづくりに貢献できる人物」である。私自身は日本のマーケットに興味があるスタートアップをサポートできます、といったようなことを答えた覚えがあるが、とにかくメンバーそれぞれが自分の強みや専門性をいかに持ち寄ってコミュニティー全体に貢献できるかという点が重視されている。そして、Fact or y自身も数名のコミュニティーマネジャーを通じて、オフライン・オンラインでコミュニケーションが活発に行われるように促したり、メンバー同士が知り合える機会が増えるように定期的にイベントを開催するなどして工夫を凝らしている。

こうした面接を通じて入会したFactoryの現在のメンバー数は2000名を超えるともいわれる。メンバーは主に、比較的小規模のスタートアップ、エンジニアやデザイナーなどのフリーランサー、投資家、企業のイノベーションチームなどだ。会費は月額50ユーロで(パートナー企業になる、個室オフィスを借りる場合は別プラン)、最初にオープンしたミッテキャンパスと、昨年末にオープンしたばかりのクロイツベルクキャンパスの両方に平日朝9時から夜9時までアクセスすることができる。

スタートアップを作るためにはアイデアと実行力を持った起業家が必要であるのは言うまでもないが、そこからさらに成長していくためには、投資家やパートナー企業、そしてプロダクトづくりに関わるエンジニアやデザイナーといった人材が必要不可欠だ。Factoryはそうした成長に必要な「出会い」をデザインすることで、ベルリンのスタートアップエコシステムに貢献している。(Text&Photo:佐藤ゆき)

Factory Berlin

ミッテキャンパス。2階から入り口を見渡したところ。
奥に見える芝生エリアは、ベルリンの壁記念公園

Factory Berlin

ミッテキャンパス1階。メンバーが投稿する情報メモ。
メンバーが求めているもの、提供できるものなどの情報が貼られている

Factory Berlin

クロイツベルクキャンパスのオープンデスクエリア

Factory Berlin

クロイツベルクキャンパスの「プレイルーム」。ボールプールや卓球台などが設置されている.(ドイツニュースダイジェスト)

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