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スタートアップ、南米市場で活躍を

日本人になじみが薄いスタートアップ大国がある。ブラジルだ。人口は世界5位の2億人で、インターネットユーザー数は世界4位。スマートフォン普及率は日本並みに高く、交流サイトに費やす時間も多い。新たなIT(情報技術)サービスが発達する土壌は十二分に整っている。

ブラジルには貧富の格差や治安など社会的な課題が多く残っている。だからこそビジネス機会は多い。富裕層向けには日米欧のような先進国向けの商品やサービスが求められる一方で、低所得者層向けには独自のサービス開発があり得る。業界を問わず少ない企業による寡占市場が多いゆえに、費用対効果の悪いサービスや商品が豊富に残っている。

国際会計事務所KPMGによると、ブラジル向けのベンチャーキャピタル(VC)の投資額は2017年に5億7500万ドル(630億円)と、16年比で47%増えた。最近では電子決済や電子マネーを対象とする法律も制定され、金融とIT(情報技術)を融合したフィンテック企業を後押しする環境が整ってきた。

米シリコンバレーの著名VCセコイア・キャピタルなどの出資を受けたヌーバンクが風穴を開けた代表例だろう。銀行口座が持てない人々向けに、アプリでの決済や家計管理、クレジットカードを提供している企業だ。ユーザー数はすでに300万人に達しており、1300万人が登録を待つ。

決済サービスのパグセグロ・デジタルは1月にニューヨーク証券取引所に新規株式公開(IPO)を果たし、23億ドルを調達した。世界有数の農業大国という特徴から、ドローン(小型無人機)を用いて益虫を配布するベンチャーなどユニークな企業もある。

米国の新興企業はこうしたビジネス機会を見逃していない。ライドシェア(相乗り)最大手のウーバーは全ユーザーの2割強がブラジルだ。動画配信大手のネットフリックスの利用者数、民泊仲介大手のエアビーアンドビーの登録件数でも上位に入っており、事業を広げている。

日本企業ではソフトバンクグループがライドシェア大手の99に出資したような例はあるが、決して盛んとはいえない状況だ。現状では出資先の候補としての検討さえあまり進んでないように映る。もちろん地理的には遠いものの、それだけでビジネス機会を逃してしまうのはあまりに惜しい市場だ。(日本経済新聞)

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