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仮想通貨ブームで売り切れているPCパーツとは

ワシントン在住のビデオゲームプレーヤー、ジェームズ・リスカさん(30)は、コンピューター・グラフィックスカードを3カ月間むなしく探し続けた結果、ようやくネットで手頃な製品を見つけた。だが「購入」ボタンをクリックしたときには既に売り切れていた。

リスカさんは、仮想通貨に熱狂する人たちのせいだと嘆く。「こんなにいら立たしい思いをするとは想像もしなかった」

リスカさんは自分が組み立てているパソコン(PC)にグラフィックスカードを必要としていた。最近、通常は800ドル(約8万6000円)で販売されているカードが2000ドルで転売されているのを目にしたという。

グラフィックスカードは通常であれば豊富に売られている一般的なPC関連の製品で、ゲーマーが好むような豊かな映像を表示するためのパーツだ。だが最近、新たな買い手が登場している。仮想通貨を生成する「マイニング(採掘)」と呼ばれる作業に必要なソフトウエアを稼働している人たちだ。そうしたマイナーたちは、ゲーマーに新たな種類の競争を突きつけている。

母親からパソコン作りを教わったサラ・カイザーさん(28)は、新しいPCを組み立てようとしていたが、グラフィックスカードを見つけられずにいた。

「マイナーのせいで以前は楽しかった趣味が苦行と化している」とカイザーさんはもらす。

カイザーさんは6カ月間カードを探し回った揚げ句、ある情報を得た。マサチューセッツ州サマービルにあるカイザーさんの自宅近くのコンピューターパーツ店では、途方もない値段がついたそのカードを、ゲームPCの組み立てによく使用する他の製品と一緒に購入すればメーカー推奨価格で販売してくれるという。マイナーは通常、一度に複数のカードを購入しようとするため目立つ。

「私はかなりラッキーだと思った」とカイザーさんは喜ぶ。結局、探していた600ドルのカードを含め、複数の製品とまとめて約1500ドルを支払った。

大半の人は市販のPCを買うが、ゲーマーをはじめとする一部の人は、自分の好みに合わせて一から組み立てている。昨今のビデオゲームは映像が細かく、スピードが速いため、プレーヤーは最高のグラフィック能力を必要としており、そのカギを握るのがカードだ。

そこに「マイニング」ブームが到来した。マイニングも多くの場合、高性能のグラフィックスカードを搭載したPCでソフトウエアを実行する必要がある。ゲーマーはカード1枚でも足りるが、マイナーはコンピューター1台につき5~6枚欲しがる。そのため突如、カードが品薄になり始めた。

仮想通貨のビットコインの価格は12月に2万ドル近くに達し、昨年1年で約2000%も急騰した。今年に入って急落しているものの、昨年の高騰を受けて仮想通貨の投資だけでなく、マイニングに乗り出す人も急増した。ビットコインの生成には通常のPCを上回るコンピューティング能力が必要なため、「イーサ」などビットコインよりも需要の少ない仮想通貨のマイニングも増加し始めている。

調査会社コインデスクによると、9日午前の時点でビットコインの時価総額は1430億ドルだったのに対して、イーサの時価総額は816億7000万ドルだった。

最近になってイーサなどその他の仮想通貨のマイナーがグラフィックスカードを買いあさったことで、カードが品切れ状態に陥っている。

コネティカット州ハートフォード近くに住むトム・グエンさん(27)は、マイニングのためにここ1年で何枚カードを買ったか、もはや覚えていない。ニューヨークとボストンの家電機器店を何時間もかけて何度も巡ったほか、ネットを探し回って「お宝」を手に入れてきた。

ソーシャルメディアに購入品を見せびらかす写真を投稿し、ゲーマーとマイナーから一様に激しい非難を浴びせられたというグエンさんは「何も悪いことはしていない」と話す。「自分の電気、時間、労力を使って仮想通貨の世界を繁栄させているのだから」

カナダのブリティッシュコロンビア州ナナイモ在住のローラ・オーガスティンさんはIT(情報技術)コンサルティング業を一時休業し、専業主婦としてイーサのマイニングに取り組んでいる。オーガスティンさんによると、2万ドルかけてPCを5台改造し、それぞれに高性能のカードを6枚搭載したという。「いわば全身が胸になるように改良した七面鳥だ。だから『遺伝子組み換えPC』と呼んでいる」

オーガスティンさんは他の専業主婦の人たちにもマイニングの仕方を教えており、6台目のPCを組み立てるつもりだ。ただし、グラフィックスカードを手に入れられればの話だ。いつも利用しているサプライヤーは、オーガスティンさんの電話に折り返してこなくなってしまった。

マイナーは買い物をする上で他にも障害に直面している。金融関連の仕事に就くカナダ・アルバータ州カルガリー在住のエイロン・ロフィーさん(36)は、カードがあるか尋ねようと地元の家電機器店に電話をかけたところ、従業員に理由を言うよう求められた。戸惑ったロフィーさんは、長年人気のPCゲーム「ワールド・オブ・ウォークラフト」への愛を告白した。

「もちろん、うそだ」とロフィーさんは言い、「麻薬でも買っている気分だった」と話した。

多くの買い手にとって、グラフィックスカードはアマゾンやイーベイなどの出品サイトでしか見つけられなくなっている。そうしたサイトでは通常の小売価格が300~800ドルのカードが2倍以上の値段で売られている。8月に599ドルで発売されたアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)のグラフィックスカード「Radeon RX Vega 64」は、10-12月期には平均小売価格が1200ドル(ジョン・ペディー・リサーチ調べ)に跳ね上がった。

手頃な価格のカードを3カ月も探しているオハイオ州ブルックビル在住のゲーマー、スターリング・ヘンダーソンさん(28)は、マイナーに待ち受けている未来に警鐘を鳴らす。

「バブル崩壊がすぐそこに迫っている」とヘンダーソンさんは述べ、「一人が10枚のグラフィックスカードを買えば、ゲーマーにどんな影響が及ぶか彼らは分かっているはずだ」と指摘した。

AMDのリサ・スー最高経営責任者(CEO)は1月30日に電話で行った四半期決算説明会で、コンピューティング&グラフィックス部門が前年同期比で増収となったが、その3分の1(4600万ドル)は仮想通貨関連の売り上げが占めていたと明らかにした。またエヌビディアも8日に行われた電話による決算説明会で、グラフィックスカードの在庫水準の記録的な低さは仮想通貨市場の旺盛な需要が原因だと述べた。

しかし、小売店はマイナーが恒久的な顧客として定着しない可能性を危惧している。

ロフィーさんが電話をかけたメモリー・エキスプレスの法人営業担当者レイモンド・マッキーチャン氏は「われわれの屋台骨はゲーム部門だ」とし、「マイナーに店の在庫を全部買い占めさせるわけにはいかない」と話す。

敵に寝返るゲーマーもいる。ジャスティンとティファニーのケリー夫妻は、ゲームをしていないときにお金を稼げる可能性があることを知り、マイニングに乗り出した。

2人は5カ月前、価格が急騰する直前にネット通販でグラフィックスカード46枚をまとめ買いした。カードは1枚529ドルで購入したが、現在は1300ドル前後で売られている。コンピューターは大量の電力を消費するため、電気工に自宅の配線を敷き直してもらった。

溶接工兼機械工として働くジャスティンさん(28)によると、マイニングによる1カ月の収入は5000~7000ドルで、カードへの初期投資を回収できる程度には稼いでいるが、1カ月当たり約700ドルの電気料金がかかるという。

ジャスティンさんは、ゲーマーはマイナーをねたむべきではないと話す。「憎むのではなく、彼らに加わるべきだ」(Wall Street Journal)

 

 

マイニングは周りでもちょっとしたブームになっています。この間はアイスランドでのマイニングについての調査があったり、先日来社した中小のIT企業の社長はマレーシアでマイニングを検討しているとのことでした。

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