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顧客満足度を下げず社員も犠牲にしない「生産性向上」の方法

働き方改革、人手不足への対応は、中小企業の経営者にとって頭が痛い問題です。AI(人工知能)の導入や徹底した機械化により生産性の向上を図り、労働環境を改善し、人手不足に対応しようと考える経営者も少なくありません。

しかし生産性の向上にはルールがあり、また、もろ刃の剣の側面もあることに注意する必要があります。

顧客満足度を下げず社員も犠牲にしない「生産性向上」の方法顧客満足に影響を与えない
「非付加価値活動」から見直しを

今、とても難しいのが人手不足への対応です。国が主導する働き方改革では、企業に対し、長時間労働の是正、休暇を取りやすい環境の整備を促しています。実際、人手不足の環境下では、労働環境が悪ければ人材が採用できないどころか社員が辞めてしまいます。

労働環境の改善は経営者が最優先で取り組むべきことですが、単純に残業をゼロにしたりすれば、その分、人手を増やさなければならず、業績を悪化させるだけの話に終わってしまいます。そこで経営者がまず手を付けるべきことは生産性の向上ですが、それにはルールがあります。第一に行うべきことは、間接業務の見直しです。

管理会計的な視点では、お客さまの満足に直接関わる業務を「付加価値活動」、それ以外の業務を「非付加価値活動」と位置づけています。経理や総務のような間接業務が非付加価値活動に該当します。間接業務を見直してコスト削減を徹底しても、お客さまの満足を低下させることにはなりません。

 

営業のように全体で見れば付加価値活動であっても、上司に提出する報告書の作成などの業務は非付加価値活動となり、こうした作業が増加すると、お客さま訪問の時間を削って報告書を作成しているという笑い話のようなことが起こります。

多くの会社でムダな会議も目立ちます。ワンマン社長の独演会のような会議は、演説する社長は気持ちがいいでしょうが、何の生産性も得られません。また社員の方も会議への出席を仕事と思うようになり、だらだらと長時間の会議をすればするほど仕事をした気になってしまいます。日常のムダを削減するだけでも生産性向上やコスト削減につながります。

働き方改革に則して、テレワークの導入を検討する会社も増えています。私の会社(小宮コンサルタンツ)でも、コンサルタントは1週間に1日、自宅で作業をしてもいい日がありますが、テレワークの導入は評価制度とペアで考えなければなりません。つまりアウトプット(売上に直結する成果や役に立つ研究成果等)に焦点を合わせた評価制度を作らないと、単に休暇が1日増えただけになってしまいかねません。

テレワークにより、通勤時間を削減するなどの働き方の改善は時代の流れでしょう。ネット環境がどんどん良くなる中で、自宅に限らず、どこでも効率よく作業ができるのですが、一方で、コミュニケーションが希薄化する懸念があります。テレワークの時代でも、コミュニケーションを図り、意識を共有する場を作ることが大切です。

売上高が伸びていない中での
生産性向上は業績を悪化させるだけ

そして、生産性向上を行うには、売上高が伸びていなければなりません。フル生産しても需要に応じ切れていないのであれば効率化を図ればいいでしょう。需要があるなら、100人の従業員で1日100個作る体制を200個作れる体制にすれば売上高は2倍になります。

一方、自社の売り上げが伸びない中で生産性を向上させると悲惨な結果に見舞われます。100個を売るのがやっとの状況の中で、200個も作れば過剰在庫となるだけ。さもなければ、生産性が向上した分、人員を整理しなければなりません。

経営コンサルタントの大先輩・一倉定先生は「コストはいくら下げてもゼロ以下にはならない」とおっしゃっています。コスト削減は必要なことですが必ず限界があり、まずはアップサイド(売上高)をどれだけ上げることができるかというビジネスの基本に戻るべきです。

そのためにも、先にお話しした「付加価値活動」と「非付加価値活動」をしっかりと見極め、非付加価値活動を削減して余った時間や人員を付加価値活動に振り向けることが大切です。あくまでもお客さまの満足度を高めることが重要なのです。

売上高とは会社とお客さまの接点です。会社側は商品サービスを提供する、お客さまは対価としてお金を支払う。それが売上高に現れるのですから、お客さまの満足度の度合いとも言えます。経営者は生産性向上を行うと同時に、お客さまが望む商品やサービスを提供することでお客様の満足度を高め、売上高を伸ばすことを考えなくてはなりません。

売上高が伸びない中での生産性の向上はもろ刃の剣。潜在的な需要があって、需要に応えられないボトルネックが人員や設備にある場合に、生産性向上が本当に活きてくるというのが私の基本的な考え方です。(ダイヤモンドオンライン)

 

 

 

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