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ギグ・エコノミーじゃなくて起業家エコノミー

Uberはそのライドシェアリングのサービスを始めた時から、労働者であるドライバーの福利厚生の欠如や低賃金に関して、ドライバーや当局と争ってきました。先日Uberが下した決断は、ドライバーたちの扱いを改善しようとする試みとしてニュースになっています。

「ドライバーたちに株式を発行したい」というUber

ウェブメディアAxiosが入手したのはUberが米国証券取引委員会(SEC)に提出した文書全文です。これは1933年証券法におけるルール701の変更を求める文書となっています。このルールは、一定の条件を満たした私企業が、従業員への株式発行を例外的に認める内容になっています。しかしUberのドライバーたちは従業員/社員(employee)ではなく独自した自営業者、つまりUberにとっては個人の請負業者(contractor)の扱いです。ルール701を改定して、契約業者でも株式付与を受けられるようにリクエストしたようです。

労働者と仕事の新しい関係「起業家経済」を成立させたい

その理由は文書内で説明されています。

仕事に対する報酬が労働者の主な収入源であるかどうかは、その労働者が非資金調達的な文脈において有価証券を受け取れるべきかどうかという判断には無関係であるとUberは考えます。さまざまなテクノロジー・プラットフォームのおかげで、今では人は複数の仕事機会を利用することができます。そこには、この起業家経済の参加者として所得を得るために、複数の競合他社によって提供されるテクノロジーを使ってサービスを提供すること、さらには別々の会社に対して同時にサービスを提供することも含まれます。その結果、労働者たちは一つの仕事を主な収入源として示すことがより難しくなってきており、複数の仕事を通じて収入を得ている起業家として多くの個人がこの経済に参加しています。

※強調は編集部による

Uberは文書の冒頭で、頻繁に使われる「ギグ・エコノミー(インターネットを通じて仕事を受注するような働き方、またはそれによって成立する経済の形)」ではなく「起業家経済」という用語を好むと述べています。

労働者とUberの関係改善に役立つのかというと…疑問

しかしドライバーたちは自分のビジネスを作り上げてるわけではなく、この視点を正当化するのは難しいように思われます。Uberが現れる前は多くのドライバーたちは車や高額のタクシー営業許可を購入するためにローンを組み、独立の起業家として活動していました。その仕組をUberは破壊しました。ドライバーたちは今や単純に他人のビジネスを成長させるフリーランサーとなっています。Uberによって形作られた新しいマーケット、その代償は時に残酷です。ニューヨークでは従来の(認可制に乗っ取った)タクシー運転手たちが十分な収入を得ることができず、運転手たちの自殺が相次いでいます。

会社の株式をドライバーたちに与えることで、Uberが行なっていることは確かに”起業家経済”的に近づくかもしれません。請負業者として仕事を行なっているドライバーたちとの関係も改善されるかもしれません。つい先週、英国では複数の都市でUberのドライバーたちによるストライクが行なわれ、ストライク中はアプリを使わないという「デジタル抗議」をユーザーたちにも求めました。

仮にSECがUberのリクエストを承認したとして、こういった軋轢がどう解消されるのかは不明瞭です。Uberが株式付与プログラムをどのように運営していくのか、米Gizmodoは詳細を求めましたが、まだ返答は来ていません。

ドライバーひとりひとりが手にする利益は小さそう

ルール701は今年初頭に変更が加えられています。この変更によって私企業はSECに財務関係の情報開示書類を大量に提出することなしに、1000万ドルまでは従業員に対して株式付与を行うことができます。Uberは2019年に上場することを狙っており、それより前に財務状況を開示することは無いでしょう。2017年12月の段階で、Uberは200万人のドライバーを世界中で抱えていると述べており、アメリカでは75万人となっています。1000万ドルがこの人数で分けられたとしたら、それぞれのドライバーが手にする価値は大したものではないでしょう。しかし全てのドライバーではなく、何らかの条件を満たす人だけに限られると考えられます。

Airbnbも先月、SECに類似の文書を送っております。自宅をAirbnbで貸し出すホストたちに株式を付与できるようなオプションを求めました。このような取り組みはギグ・エコノミーのスタートアップにおいて勢いを得ているようです。

と、こういったニュースを聞いたら期待を持ってしまいそうになりますが、そう美味しい話では無さそうです。Uberの競合であったJunoは「よりドライバー・フレンドリーなスタートアップ」としてビジネスモデルを築きました。ドライバーが受け取られる料金の割合も高く、会社が買収されたり上場した場合には価値が出るとされた「制限付き株」が与えられたのです。そして昨年、競合のGettがJunoを2億ドルで買収した時にドライバーたちは自分たちに与えられた制限付き株に見合った金額を受け取ろうとしたわけですが、それは一株につきたった3セントでした。平均的な支払金は約100ドルに留まっています。(GIZMODO)

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