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AIで人事も自動に、オンデマンド配置が新潮流

米配車サービス大手ウーバー・テクノロジーズなどいわゆる「ギグエコノミー」のパイオニアは、アプリやアルゴリズムを通じて単発の仕事を大勢の非正規労働者に振り分けることで世界有数の評価額の企業へと上り詰めた。

人事管理ソフト市場は年々伸びているTHE WALL STREET JOURNALSource: GartnerNote: 2017 and 2018 are forecasts
(単位:十億ドル)2014’15’16’17’18024681012$14

今度は既存の大手企業がこのモデルの要素をフルタイム従業員に適用しようとしている。英蘭系石油大手ロイヤル・ダッチ・シェルや米複合企業ゼネラル・エレクトリック(GE)などでこうした試みが始まっている。

 企業はこうした新しいツールが効率性を向上させ、従業員が新たな種類の仕事に挑戦するチャンスを与えると話す。だがそれだけでなく人間が長らく手がけてきた管理業務、例えばスケジュール調整や戦略プロジェクトの監督といった仕事もソフトウエアが担い始めている。

シェルでは自動車メンテナンス部門のデジタルビジネスモデルの評価に役立てられた。プロジェクトに適切な専門知識を備えたスタッフを検索するアルゴリズムにつなぎ、クリック一つでその仕事を割り当てたのだ。シェルが利用するのは、米カタラントが開発した従業員と各プロジェクトをマッチングさせる機械学習ソフトだ。その後の活動を追跡し、評価することで、次回のマッチングはさらに精度が上がることになる。

シェルは今年すでにこのシステムの試行に着手。従業員8000人を抱えるB2B(企業間取引)部門全体で来年1月に「シェル・オポチューニティ・ハブ」をスタートさせる予定だ。

「シェルが擁する多彩な人材についていかに効率的にアクセスし、活用するかを検討している」とシステム試行を指揮するシェル幹部のキャロライン・ミッセン氏は語った。

認知のわなを避ける

こうした管理ツールは採用その他の人事管理業務に人工知能(AI)を取り入れようとする広範な動きの中の一角だ。

調査会社ガートナーによると、人事・労務管理ソフト市場は過去2年間に23%成長した。今年は115億ドル(約1.3兆円)規模となり、2020年までにさらに25%成長する見通しだ。

一部の管理業務では人間よりもコンピューターの方が適していると思われる証拠がある。人間は確証バイアス(訳注・自分の考えを検証する際、都合のよい情報のみを集め、反証となる情報を無視または集めない傾向があること)のような認知のわなに陥りやすい。2015年のニューイングランド大学による心理学調査の分析によると、直感に頼る人々は誤った判断をしがちであり、自分のパフォーマンスをより高く評価する傾向があった。そして定量的アプローチの重要性が増すビジネスの世界では、マネジャーはデータに基づく判断を下すよう求められる。まさに機械の方が優れている種類の判断だ。

「マネジャーが行う仕事の大半は可能性を見極め、チームを編成し、作業を割り当て、パフォーマンスを測定し、フィードバックを与えることだ。概して人間はこの種の作業にあまり適していない」。ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)のトーマス・チャモロ・プレムジック教授(ビジネス心理学)はこう指摘する。「いつか管理職を必要としなくなるかもしれない」

一方、AIも判断を下す際、わなにはまる場合があるとの指摘がある。AIシステムは過去のデータとの類似性を見いだすことで判断するよう訓練されたものが多い。だがそれは従業員がかつて経験したことのない仕事で優れた結果を出す可能性など、めったに起きない出来事を予測するのには不向きだ。「今年優秀なセールマンが来年も通用するとは限らない」とUCLの機械学習研究者、マイケル・ビール氏は話す。

労務管理ソフトを活用する企業はこうした懸念を認めつつも、機械が人間の判断力や対人関係の管理能力の代わりになることはないと話す。それよりも管理業務を迅速化し、以前は直感や経験に頼っていたマネジャーの判断力を向上させる効果があるという。

「われわれの目標はマネジャーの時間を最適化することだ」と人事管理ソフトを開発するクロノスのグローバル製品管理担当バイスプレジデント、ビル・バートウ氏は言う。

作業フローを最適化

カーネギー科学センターの「ロボット殿堂」に展示されたロボットのおもちゃ  PHOTO: BRIAN CAHN/ZUMA PRESS

労務管理ソフトウエア企業の英インシリスは、欧州の川に面した大きな港で100人の水先案内人のシフト編成を決めるシステムを開発した。機械学習を利用し、各船舶の喫水の深さや水先案内人の実績など数十もの変数を考慮に入れている。

他の企業はより複雑な管理業務に活用している。ウェブサイト製作の新興企業、B12は「オーケストラ」と呼ぶシステムを構築した。フルタイム従業員とフリーランスによる単発の作業チームを立ち上げるため、メンバーを選定し、作業フローを管理するものだ。

B12のアダム・マーカス最高技術責任者によると、オーケストラは「スタッフボット」と呼ばれる自動システムを用い、時間をかけずに最も適格な人々に役割を振り分ける。さらにもう一つのシステムが予想分析に基づいて作業フローを組み立てるという。

GEは米カタラントと協力し、GEベンチャーズの客員起業制度(EIR)向けの社内プロジェクトを立ち上げる実験を始めた。EIRは起業家を社内に迎え、出資者探しを支援する制度だ。GEはこの実験を2018年には幅広い部門で行いたい考えだという。

GEのスー・シーゲル最高イノベーション責任者は、いつか機械が上司になる日が来る可能性を排除しないと述べた。

「ロボットが個性やユーモアのセンスを身につけ、人間の状況を理解できるようになったらどうなるか」と同氏は言う。「それは誰にも分からない」(The Wall Street Journal)

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