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外国人観光客にも人気の日本の農村旅行

中国で「農家楽」という農家民泊が流行している。すでに数年前から起きている現象だが、最近では訪日旅行でも田舎を目指す傾向が出始めている。都会に住む中国人は、なぜわざわざ田舎を目指すのか。その背景と心理を探った。(ジャーナリスト 中島 恵)

中国でブームの「農家楽」
近距離の田舎に行くプチ旅行

「もうすぐ菜の花畑が満開になる季節なので、週末は彼と農家楽に行って、お花畑を散策したり、リラックスする予定なんです」

平日の夜に連絡を取ってみると、上海市内の外資系企業で働く女性、蘇さん(26歳)はウキウキしながらこう話してくれた。

1年ほど前に知り合った蘇さんは真面目なハードワーカー。外資系なので出勤時間は比較的自由だそうだが、顧客回りが大変で、夜遅くまでオフィスで残業する毎日を送る。

出身は南の江西省、大学は北京で、就職は上海。ここ数年、目まぐるしく多忙な日々を送ってきただけにストレスもたまるが、ときどき郊外にプチ旅行をするだけで、リフレッシュできるという。

蘇さんの旅行先は蘇州の郊外。上海からクルマで2時間ほどで到着でき、周囲には畑などのどかな風景が広がる。以前、友だちからそこの評判を聞いたことがあり、週末に1泊旅行をすることに決めた。宿泊料金は約300元(約5000円)。簡素で小さな宿だが、「何もないほうが、かえっていいんですよ。夜も物音ひとつせず、静かな環境なのがいい」と蘇さんは心待ちにしている。

中国人の間では、現在、国内旅行が非常に盛んで、中国国家観光局のデータによると、2017年の国内旅行者数は延べ48億人に上っている(1人当たりの年平均旅行回数は3.7回)。それくらい旅行人気が高まっているのだが、中でもブームとなっているのが「農家楽」だ。これは農家を改造した宿に泊まったり、農村にある一般のホテルに泊まる旅行のことを指す。たいていは1泊か2泊で、近距離の田舎に行くプチ旅行を呼ぶ場合が多い。

中国の旅行サイトを検索してみると、北京農家楽網、上海農家楽網、四川農家楽網など、全国各地の農家楽専門サイトがヒットし、数多くの農家楽リストをチェックすることができる。地域別のサイトもあるが、お花見、登山、ハイキング、バーベキュー、農業体験(いちご狩り、野菜の収穫)などの目的別や、団体向き、家族向き、カップル向きなどの形態別のおススメもあり、料金は最も安いものでは200元(約3400円)以下、高いものだと800元(約1万3000円)程度の立派なホテルもある。

名所旧跡を観光するわけではなく、あくまでも「田舎」に行って非日常を楽しむというのが目的の旅行だが、アクティビティのバリエーションがだんだん豊富になってきて、農家楽が一つの旅行スタイルとして確立されていることがわかる。

農家楽を楽しんでいるのは
都会に住むさまざまな世代の人々

農家楽を楽しんでいるのは、都会に住むさまざまな世代の人々だ。

前述したような仕事に追われる若者をはじめ、定年退職して暇になった中高年や老人、30~40代のファミリー層もいる。日本でも同様だが、都会に住む子どもは野菜や果物がどのように植えられているかも知らないので、農村の風景を見ながら、親が子どもに植物について教えるなど社会見学にもなる。

旅行者の目的はリラックスや癒し、リフレッシュ、ストレス解消などで、民泊やホテルを営む農村の住民にとっても、ビジネスや収入の増加、地域活性化につながる。近年、都市部から地方への高速道路や鉄道が拡充されていったこともあり、以前よりも気軽に楽しめるようになってきている。

長年上海市内の大学で教鞭を執り、定年退職後は悠々自適で過ごしている女性、劉さん(64歳)も、近場の農村に学生時代の友人や、教師仲間とともに1泊の農家楽によく出かけている一人だ。

「上海は大都市ですから、街を出歩くと、とにかく人混みで疲れるんです。昨年、母親を見送り、一人娘は結婚して、今は夫と2人きり。なので、割と頻繁に、旅行代金が安い農家楽に平日に出かけていって、田舎で収穫されたおいしい野菜料理を食べて帰ってきます。ただそれだけのことなんですが、家にじっとしているより健康にいいし、若い頃に戻ったような新鮮な気持ちになりますよ。旅行サイトを通さず、自分たちで直接、気に入った農家に予約して行くこともあります」(劉さん)

劉さんの場合、数千キロも離れた東北部の寒村に行かされ、そこで数年間、畑仕事だけを行う日々を過ごした経験がある。作物があまり育たない土地での集団生活や農作業は辛かったが「今になって振り返ると、懐かしい思い出でもある。その農村にも、昔の仲間と一緒に行ってみたい。もうだいぶ変わってしまったかもしれないけれど、農村の暮らしぶりをもう一度じっくり見てみたい」と話す。

劉さんのような中高年世代にとって、農村に対しては、そんな思いや郷愁もある。

前述の蘇さんは江西省の田舎の出身なので、大学に進学するまではもちろん「“山”を見たことはあった」そうだが、北京や上海の都会生まれの人の中には「ほとんど“山”を見たことがない」という人はけっこう多い。

日本旅行の際にも
田舎を訪れる中国人が増えている

日本人には信じられない話だが、日本の東京から山梨県、大阪から和歌山県に行くのとはわけが違い、都市と農村の物理的、心理的な距離は、日本人が想像するよりもずっと遠いのだ。都市の中国人の中には農村に住む人々を差別的に見る人もいるが、国内の景勝地や名所旧跡があまりにも混んでいることや、都会でのストレスフルな生活に疲れ、自然と農村へと足が向くようになった。

だからこそ、ネットの発達や旅行ブーム、交通網や農家自体の環境整備により、このように農家楽が発達し、若者にとっては「農村の風景こそ、物珍しいコンテンツの一つ」になったのだが、昨今は日本旅行の際にも、都会をスルーして、わざわざ田舎を訪れる中国人が増えている。

拙著『中国人富裕層はなぜ「日本の老舗」が好きなのか』でも紹介したが、長野県では中国を含む海外からのインバウンドの一環で、農家民泊を推進している。中でも伊那市は2012年ごろから各農家で受け入れを始め、長野日報によると、2016年には全体で78団体、約2000人を受け入れた実績がある。

伊那市観光協会の担当者によると「17年は約500人の中国人を受け入れました。県からの依頼で予約が入り、主に北京からの修学旅行生がやってきます。たいてい夕方到着して農家に泊まり、農家の人々と一緒に野菜料理を作ったり、着物を着たり、昔話を聞いたりします。昼間に到着した場合は農作業も一緒にやったりしますね。北京の旅行会社からの申し込みで、複数の家族を受け入れることもあります。日本の田舎を気に入って、リピーターになってくれることもあり、好評です」という。

日本の田舎にある他愛ない自然の風景や、田舎ならではの名物(山菜料理、お祭りなど)や名所(桜並木、滝など)に惹かれて旅行する人も増えている。

中国人観光客からはよく「日本では星空がよく見える」「日本で食べる野菜は味がしっかりしているので、生で食べられる」「水田の稲が美しくて、真っすぐに植えられている」など「日本人にとっては当たり前」の声をよく聞く。

逆にいえば、中国の都市部に住んでいたら、目にできないもの、手に入れられないものばかりだ。先に経済発展した日本で大事にされてきた自然こそ、彼らに対して「日本のウリ」になることを、もっと日本人は自覚するべきだ。

今後、中国国内で流行した旅行傾向が海外にも広がっていくことを考えると、日本に今ある風景こそ、彼らにもっと癒しや安らぎを与えられるのではないだろうか。農家楽が流行る中国国内の事情を知るにつけ、そんなふうに感じられる。(ダイヤモンド・オンライン)

 

 

スウェーデンでは離島で夏休みの間ゆっくりと過ごすサマーハウスなるものがあり、何もない時間を過ごします。日本人にとって憧れともいけるバカンスの過ごし方ですが、本当に何もなく、電気や水道、トイレもなかったりします。日本的にはセカンドハウスのイメージが強いのですが、サマーハウスはローンを組んで購入して何年もかけて自分たちでリフォームし、そしてそれを喜びとしています。なのでスウェーデンの人々が皆裕福という訳ではなく、サマーハウスを所持することは長期休暇でもあまりお金を使わずにすむという合理的な知恵です。フランスの避暑地でも観光客が多すぎて地元住民が反対している、といったニュースがありましたが、このような避暑地は観光スポットとは違うので、地元住民の生活に負担ない状態で観光収入も得られる分散型に発展すればいいなと思います。

ベトナムで商機つかめ

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