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バングラディシュで起業した日本人女性に聞く、IT事情と成功の秘訣

バングラディシュで人気のプログラム言語は?

VENTURAS LTD Founder & CEO 上田代里子氏

バングラデシュはアジア最後の新興国と言われており、日本の4割程度の国土で約1億6000万人が暮らす国です。人口数はアジアで4位であり、人口密度は1平方キロメートルに1127名が暮らすという世界一の人口過密国になります。

現在、バングラディシュには約4500社のIT企業があります。経済は安定しており、年間6%前後の高成長を遂げています。一方で、バングラディシュのITエンジニアの平均給与は数万円前半ということで、オフショアとして注目を集めています。また、バングラディシュは国策として国内約100カ所の経済特区を設けて外資企業を誘致し、実質経済成長率を10%まで引き上げることを発表しています。

アジア最後のIT高成長を期待できるバングラディシュですが、日本で外国人エンジニア派遣に力を入れているヒューマンリソシアの協力を得て、 バングラディシュの現地企業のVENTURAS LTDでFounder & CEOを務める上田代里子さんにバングラディシュのIT業界について話を聞きました。

–上田さん、お忙しいところありがとうございます。早速ですが、自己紹介をお願いします

上田氏: 今年でバングラデシュ在住歴6年になります。大阪大学卒業後、2006年にリクルートグループのネクスウェイに入社しました。B2B企業向けマーケティング・オートメーションの新規事業立ち上げ・推進の責任者を勤めた後、バングラディシュ・ダッカにて起業いたしました。

「主体的に未来を選べる社会をつくる」をミッションに掲げ、公平な学習機会・情報の普及を目指しています。現在、バングラディシュ国内142大学・300超の高校と連携し、バングラデシュ高校3年生100万人に向けた進学情報プラットフォーム(CampusBD.net) を運営しています。また、バングラデシュ初となるロボットコンテストの主催、ロボットスクールの立上げなど、さまざまな経験機会の提供を、官民を巻き込んで行っています。2018年からは、理工学に高い競争性を持つトップ20大学と連携し、バングラデシュ新卒エンジニアの日本就職を支援する新事業をスタートさせています。

–海外でこれだけ精力的に活動されているのは本当に素晴らしいと思います。ちなみに、バングラディシュのプログラマーの給与は一般的な職業と比べ、高いですか? 低いですか?

上田氏: 今は売り手市場なので、腕のいいプログラマーは市場価値がとても高く、新卒1~3年目で5~6万タカ(約6.8~8.2万円)もらっている人もいます。普通の新卒のオフィスワーカーで平均約1.5万タカ(約2.05万円)ということを考えると、スキル次第で優位に稼げる職業と言えると思います。

プロジェクトマネージャーレベルになると、20万タカ(約27.3万)以上稼ぐ人材もいますね。銀行の支店長クラスの給与が10万タカ( 約13万円)ですので、プログラマーのマーケット需要は年々高くなっています。」

–それだけ高給だと、人気な職業になりそうですね

上田氏: 前述した「スキル次第で稼げる」ということもあり、職業としてはこの数年くらいで非常に人気が高まっていると感じます。現在の中学生・高校生と話しても、「コンピュータ・サイエンスを学んで将来はプログラマーになりたい」と言う学生が多いです。

背景には、バングラデシュが国家として 「Digital Bangladesh」をVisionに掲げており、理数系教育に力を入れている、ということがあると思います。これは隣のIT大国、インドの影響も強いと考えられますが、バングラデシュのように資源が取れない故に、安い人件費を売りにしてアパレル(ファクトリーアウトソーシング)産業で発展してきた国家が、次の一手としてIT産業を強化しようとしているからです。

国も、近年外資のIT企業を積極的に誘致しており、ITのオフショア開発企業も増えてきています。それに伴い、プログラマーの求人数も多くなってきており、スキルを磨けば、マーケットバリューが高い人材になれる、という好循環が生まれていると言えます。

–ちなみに、人気のプログラミング言語はなんでしょうか?

上田氏: バングラデシュでは、PHPとJavaが圧倒的に人気です。もともと、国内のIT開発では、ERPやバンキングシステムのような大規模なシステム開発が多かったので、backendエンジニア(サーバーサイド)の需要が高かったのだと思います。また、大学でもこれらの言語に加え、C言語を学ばせる大学が今も多いです。

一方で、外資オフショア企業のニーズを受け、近年は、PythonやRubyを使うエンジニアも少しずつ増加しています。最近はバングラデシュでもAIはバズワードになっていますので、Pythonを独学で勉強する若手エンジニアにもよく会います。モバイルエンジニアも人気です。バングラデシュのような新興国では9割超がAndroidユーザーなので、逆にiOSエンジニアは非常に希少価値が高いです。

–そうなんですね。この市場動向に対してどのような活動をされてきて行きたいと考えていますか?

上田氏: 当社は、「学ぶ」「働く」の領域で、バングラデシュの若年層向けにサービスを提供しています。

「学ぶ」領域では、高校生3年生100万人に向けた受験情報プラットフォームの提供、ロボコンやキャリアセミナー、ワークショップを通じた経験価値の創出などを行っています。「働く」の領域では、主にコンピュータ・サイエンス専攻の新卒学生に向けた、日本就職支援サービスを提供しています。今春日本語学校も立ち上げ、日本での就職を目指すエンジニアの支援を強化しています。

今年度は高度IT人材育成を強化するための、ディープラーニング・AIスキルを磨く講座もトップ大学と連携し、バングラデシュで提供を開始する予定です

バングラディシュで起業して成功するには?

–素晴らしいです! バングラデシュで働きたいという日本のエンジニアもいると思います。バングラディシュの良いところを教えてください

上田氏: メリットは人口が多く、長期的に見て国が成長していくことが期待できるところですね。また、競合も少ないです。まだまだ社会課題が多い国なので、ニーズがあふれていて、いわゆる「タイムマシーンモデル」で参入しても、ある程度マーケットが取れる気がします。

ただし、保守的で伝統的な価値観で購買の意思決定をする国民性なので、マーケットに正しくリーチし、地場の信頼とネットワークを築かなければビジネスを成立させるのは厳しいのでは、と思います。また、投資回収期間は他国と比べて相対的に長いでしょう。

–ちなみに、IT企業で起業されている人は多いですか? どのような人が成功されると思いますか?

上田氏: ローカルのIT起業家は、増えてきています。バングラデシュは今がITスタートアップ元年と言ってもよいのではないでしょうか。ただ、先進国のように成功事例が周りにたくさんあるわけではないので、資金・事業の創り方・情報・ノウハウが不足している感はあり、勃興しては消えていくローカルスタートアップは多いです。

成功している企業を挙げると、世界有数の深刻な渋滞問題を解決するために、レストランのメニューをデリバリするfoodpandaや、日用品を届けるchaldal.com、Uberのローカルバイク版であるPathaoなどが伸びていますね。

また、多くはないですが、外資のITスタートアップ企業は少しずつ設立されています。想像よりも、参入コストがかかる国なので、海外で既に事業が安定している拠点があって、そのバングラ国への横展開、というパターンが多い気がします。

成功する人は……生活環境と労働環境がタフすぎるので、強靭な神経と身体を持ち、忍耐強くバングラマーケットにコミットできる人でしょうか(笑)

–日本人プログラマーがそちらの国で成功する可能性がありますでしょうか? またどのような人が成功しやすいでしょうか?

上田氏: 日本人プログラマーが、バングラデシュまで来て仕事をされるイメージができないですけど(笑)、外資オフショア拠点のプロマネやCTOレベルであれば、引きはあるのではないでしょうか。

バングラデシュには、腕の良い若いコーダーは山程いますが、優秀なマネジメントレベルの人材を採用することは簡単ではありません。そのため、グローバルレベルの商習慣を理解していて、マネジメントもできて、英語も話せて、チームを引率できる日本人がいれば(アーキテクチャ設計もできると最高)、外資のオフショア企業などから引き手数多かもしれないですね。ちなみに、そんな方は当社にぜひきてほしいです。

以上が、上田さんのインタビューになります。ビジネスは市場が拡大する際にその中心で活躍できた人が一番成功すると思います。当然、いろいろなものを生み出さなければいけないので、産みの苦しみはあるでしょう。それに耐え、バングラデシュにコミットできる人には活路が開けるかもしれません。上田さんのような先駆者がいるということは、これからの日本の若者にとっても大きな指針になると思います。(マイナビニュース

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