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失敗すら歓迎されるシリコンバレー

 

「世の中のスタートアップの90%は失敗に終わる」と言われている。一時的に注目を浴びることはあっても、事業の継続は困難を極めるからだ。そんななか、前途多難な道のりを歩む初期段階のスタートアップに対し株式取引を条件に支援するのが、アクセラレーターだ。その数は過去10年ほどで約10倍に増え、現在北米には170ものアクセラレーターが存在する。

サンフランシスコ市内にオフィスを構える「HACK Temple」は、主に北米市場への進出を目指す国外のスタートアップを支援する新種のアクセラレーターだ。資金支援を行う代わりに年会費で運営費を捻出し、プロダクト作りや事業開発で「結果を出す」ことに重きをおいている。実績があれば投資家も無視できないため、自ずとお金も集まるという考え方に基づいているのだ。

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HACK Templeは、創業者であるPavel Cherkashin氏のキャリアの集大成とも言える。母国ロシアでは複数社を創業して売却し、大手企業数社の海外事業開発を担当。シリコンバレーに渡ってからは、ベンチャーキャピタルを立ち上げて投資家として活躍してきた。自らの経験を活かすことで、世界中のスタートアップに「シリコンバレーをハックする方法」を伝授している。そんなPavel Cherkashin氏に、HACK Templeの活動について伺った。

月額2,000ドル、3カ月間の海外スタートアップ支援プログラム

Hack Templeは、アクセラレーターの本来あるべき姿を追求するプログラムです。従来型のアクセラレーターのように資金調達を重視せず、海外スタートアップによる北米市場参入を実践的に後押ししています。シリコンバレーにおけるビジネスネットワークを広げ、先輩起業家から学び、知識や社会基盤の提供に至るまで、未知の地で必要なリソースを得ることができます。

基本プログラムには、世界中から1,000人ほどが参加しています。海外スタートアップの北米市場参入の支援プログラムは月額2,000ドル、3カ月間の集中プログラムです。オフィスや会議スペースに加えて、人的ネットワークや提案書・法的文書などの雛形(ナレッジベース)、また北米の住所や電話番号なども利用できます。面倒な下準備をHACK Templeが肩代わりすることで、創業者はプロダクトや事業開発に集中できるのです。

プログラム名に「Hack(ハック)」とあるように、HACK Templeはコミュニティやナレッジベースを活用して、起業への“最短ルート”を提供します。素晴らしいビジョンを持ちながらそれを形にできないスタートアップと、それを実際に形にしたスタートアップとでは、後者のほうが投資家にとって100倍の価値があるのです。顧客に求められるプロダクトを作り、事業としてのポテンシャルを早急に提示できれば、投資家は自ずと集まってくるでしょう。

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シリコンバレーへの参入を強固なコミュニティでサポート

世界で最も競争率が高いシリコンバレーに挑むスタートアップは、共通の課題に直面します。例えば、すでに出資を受けて資金が潤滑なスタートアップの場合、北米でのビジネスネットワークや経験・知識不足をコンサルタントや出資型のアクセラレーターなどを使って補おうとするでしょう。シリコンバレーに多い、自分を売り込む術に長けた人たちがあなたのお金を喜んで使い果たしてくれます。すると、多額のお金を投入したにも関わらず、満足のいく結果が生まれないという事態が起こります。

HACK Templeなら、月額2,000ドルという費用に含まれるナレッジベースを有効活用することで、時間と費用ともに節約することが可能です。また、見知らぬ土地に来たばかりでは、信頼していい相手とそうでない相手を見極めることが難しいのは当然です。時間をかけて自分なりの判断基準を構築することもできますが、HACK Templeには既に創業者支援に意欲的なコミュニティが存在します。

自分たちは斬新だと信じて疑わないアイデアも、実は過去にはスタートアップが試みて失敗しているかもしれない。失敗談は語られないためそれを知る由はありませんが、アドバイザーや投資家ならそうした情報も熟知しています。適切な相手と5分間会話をするだけで、上手く失敗を回避できるかもしれない。HACK Templeなら、最小限の資金を使いできるだけ最短で最良の結果を出すことができるのです。

失敗に寛容で多様性に優れたシリコンバレー

スタートアップの成功要因は、ロシアもシリコンバレーも同じだと感じます。情熱的で優秀なチーム、規模感を持って解決すべき課題、プロダクトへのフォーカス。ただし、基本的な部分に差異はないものの、シリコンバレーには世界中の優秀な人材が集まります。その分、競争が凄まじいため、最初は怖気付いてしまうかもしれません。でも、ここで挑戦することは世界に挑戦することと同義。それだけチャレンジしがいがあるのです。

シリコンバレーはプロダクト作りの専門知識に長けています。例えば、ロシアにも優秀なエンジニアはいますが、プロダクト側の人材がいない。学校教育に取り入れられていないからです。シリコンバレーは、プロダクト開発を含むあらゆる分野の専門家に恵まれています。エンジニアとプロダクト、双方の人材が揃うため、素晴らしいプロダクトを生み出しやすい環境がある。個人のキャリアという意味でも、自分の得意分野を見つけることができれば、生き残る道は十分あります。

シリコンバレーの文化的な魅力は、その多様性と失敗に寛容であること。国籍や経歴、宗教など多様なバックグラウンドを持つ人々が集まることで、課題への興味深い解決策を見つけることができます。古い業界なら無理だと諦めるようなアイデアも、一緒になって実現する方法を見つけてしまう。また、シリコンバレーでは仮に失敗しても次がある。失敗したという経験を積んでいるから、むしろ次のステージで歓迎されるのです。起業家にとってこれ以上の環境はないでしょう。

シリコンバレーを“ハック”する

HACK Templeの目下のゴールは、起業にまつわるシリコンバレー流のやり方をまとめ、伝えていくことです。世界中の創業者がシリコンバレーで成功するための方法を理解することで、何千というスタートアップを支援できるはず。まずは、今後数年で国外スタートアップの北米市場参入を後押ししていきます。

スタートアップや起業家がHACK Templeに参加する特権のひとつは、私たちのナレッジベースです。スタートアップにまつわる膨大な量のデータを解析することで、有用な潜在欲求を導き出し蓄積しています。現在はこのナレッジベースをBOTとして提供していますが、裏では人工知能をフル活用しています。今後も、創業者やチームに価値のあるフィードバックを提供できるよう、人工知能の開発に注力していきます。

北米のHACK Templeに継ぐステップは、そのモデルをシリコンバレーの外にも応用していくことです。東ヨーロッパ、中国、インド、ブラジル、トルコなど、起業にまつわる知識や経験へのアクセスが少ない新興市場の創業者たちが対象です。彼らに、シリコンバレーと同様にHACK Templeの膨大なナレッジベースを提供することができれば、また新しいチャンスが生まれるでしょう。

10年、20年先には、シリコンバレーで経験を積んだ人材が母国に戻り、Hack Templeの延長線上にあるコミュニティを育んでくれることを願っています。(ホウドウキョク)

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各国のスタートアップ状況

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