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「凡人起業」のススメ

【ビジネスパーソン大航海時代】過去の時代にない働き方が選択できる「大航海時代」がやって来ました。この新連載では、ビジネスパーソンが勇気をもって大海原に乗り出す手助けができればと思っています。

◆「就社」以外の選択が増えた“大航海時代”

「凡人起業」とは、凡人でも起業ができるという意味です。

たとえば、私は一流大卒でもなく、MBAの資格ももっていませんが、起業しました。それどころか市場参入テーマが良かったので、3年で大企業に自分の会社を売却したのです(これが良いかどうかは別の議論に譲りますが)。

2018年現在、起業環境は過去最高だと感じます。私が起業した2013年よりも状況はさらに良くなっています。そのため「人生100年時代」と言われている現代、「起業」もビジネス針路の選択肢の1つになりえるのです。

大学卒業後に就職した会社で定年まで働き続ける--それが父や祖父の時代の「常識」、「美学」だったといってもいいでしょう。就職より「就社」と呼ぶにふさわしい時代です。

しかし今では、業界によっては転職が当たり前ですし(特に私がいたIT業界は顕著)、会社が副業を認める時代になりました。また、政策金融公庫やエンジェル投資家・ベンチャーキャピタルなどが資金提供に積極的なため、起業の資金面のハードルは低くなってきました。

現在、会社に勤めている方の選択肢としては、(1)定年まで会社で働く(2)副業をする(3)フリーランスになる(4)起業する、などが考えられるでしょう。

就社して生涯1社にとどまるという以外に、大海原に乗り出すための選択肢が広がった“大航海時代”だと思いませんか?

◆失敗しない起業ができるスマホIT時代

これまでの産業構造では、「起業」というと、フランチャイズのような自己実現とは言いづらいものや、あるいは設備投資型の事業が多く、資金が必要でした。また、飲食店のように立地条件で客足が左右されるなど、「やってみないとわからない」という、ばくち的な要素がありました。

それに比べ、ITは設備投資がほぼ不要ですから立ち上げるときのコストが安いですし、24時間365日・全国ユーザを対象にサービスが可能です。

35歳くらいで自分の強みを活かし、ITを使って起業するという選択が可能になったのです。

私も35歳でITで起業しました。これは、20代で起業する人が大勢を占める「ベンチャー村」の中では、ずいぶん「奥手」といえます。凡人ですから仕方ありません。

私が起業を準備し始めたのは大ヒットスマホゲーム「パズドラ」が出た2012年。「パズドラ」以前のゲームは画面をタッチするだけの単純なゲームでしたが、iPhoneが出た2008年以来、スマホならではの特徴を生かしたゲームが次々と登場し、なかでも「パズドラ」は爆発的な成功を収めました。

2001年から09年まで携帯電話(ガラケー)のゲームコンテンツに携わっていた私は、「パズドラの成功を知ったゲーム会社は一気にスマホゲームに参入していくだろう」ということが、土地勘からリアルに感じられました。

そこで、「iPhone」と比較すると競争者がほぼいなかった「Android」端末向けのスマホゲームを支援するメディア事業で起業したのです。35歳のときでした。

◆20代での起業と30代半ばでの起業の違い

起業してわかったことがあります。それは、30代は「やりたいことをやる」ために起業してはいけないということです。

20代と30半ばでは人生状況が異なるためです。

20代であれば、とりあえず「やりたいこと」でも良いでしょう。身軽ですから失敗してもやり直せますし、1回目の失敗経験から学べば、次でうまくいくかもしれないからです。夢を大きく語って勝負するのが良いでしょう。

一方、30代では市場を無視して「やりたいことをやる」と言って失敗すれば、無責任でしょう。失敗できないので、責任感から起業に踏み切れない人が多いのではないでしょうか。

ですから30代で大事なことは「やりたいこと」より、それまでの経験で培った自分の強みを活かして「見えていること」「求められていること」をやることです。

30代からの事業の見つけ方としては、あなたが今いる業界の変化を察知し、自分の経験を活かせるかを考えましょう。

私の場合、ガラケーからスマホへという、モバイル業界の変化がありました。そこで、ガラケー業務に携わって得たゲームのマーケティングの知見を活かし、起業したわけです。

ご自身が身を置く業界内でも、必ず変化が発生しているはずです。その変化に対する、経験を活かした、自分なりのITサービスでの解決法をみつければ、それを軸に起業することは可能です。

◆起業したあとの新たな世界

起業した会社が2、3年で成長する可能性もあります。そうすると、そこからさらに選択肢が生まれます。

起業した会社をそのまま経営していく選択と、新規事業を切望している大企業に会社を売却するという選択です。私は、起業した会社を38歳のときに大手通信会社に売却しました。

つまり、1回目の起業で始めた事業に固執せず、イグジット(売却)して次の“元手づくり”をめざすことが可能です。

なぜ、私は起業で元手(=お金)づくりをめざすのかというと、人を応援するためです。誰かが挑戦するときに自分が応援することで、自分が世の中の役に立っているという実感がほしいから、人を応援するための元手を作りたいのです。

起業することで、人を応援できるようにもなるわけです。それがたとえば、エンジェル投資家となって起業をめざす人の手伝いをする、といったことにもつながっていきます。

次回は、その事例、起業を経て40歳から始めたスタートアップ投資(エンジェル投資)についてお話ししたいと思います。

【プロフィール】小原聖誉(おばら・まさしげ)

小原聖誉(おばら・まさしげ)株式会社StartPoint代表取締役CEO
1977年生まれ。1999年より、スタートアップのキャリアをスタート。その後モバイルコンテンツコンサル会社を経て2013年35歳で起業。のべ400万人以上に利用されるアプリメディアを提供し、16年4月にKDDIグループmedibaにバイアウト。現在はエンジェル投資家として15社に出資し1社上場。

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