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スタートアップに適した国 エストニア

「IT先進国」「ブロックチェーン大国」エストニアの噂は、シリコンバレーから日本に戻る度に、よく耳にしていた。安倍首相をはじめ、著名投資家、起業家の先輩方、仲間たちが、こぞってエストニアに行くのをSNSで見て、会えば話を聞いていた。

その誰もが口を揃えるのが、エストニアがIT先進国であり、e-Regidency(電子移住権)があり、スタートアップも始めやすいということだ。ならば、未来をつくるヒントがあるのでは……と、自分の目で見たくなり、この夏、フィンランドへ旅した際、エストニアにも足をの伸ばしてみた。

8月上旬、福岡からフィンランド・ヘルシンキへと飛んだが、わずか9時間で着いたことにまず驚いた。ヘルシンキは、福岡からいちばん近いヨーロッパだそうだ。エストニアはそこからフェリーで約2時間。首都タリンへと向かった。

フェリーのなかには、バーやレストランがいくつもあり、乗客が踊れるようなライブも2つの場所で行われていた。スーパーもあり、ショッピングも楽しめた。もはや、日本でイメージするフェリーではなく、立派な客船だった。しかも、往復で60ユーロ(約7800円)とかなり格安。エンターテイメントがあり、景色も綺麗で、料理も美味しく(30ユーロで食べ放題)、最高の船旅だ。

驚きづくしのエストニア

今回の滞在にあたっては、エストニアのIT企業「Riftal」でインターンをし、その経験をブログで発信していた日本の知人に、現地の有名なIT経営者、日本人でありながら政府のブロックチェーンのアドバイザーなどをしている人々を紹介していただいた。

その中でも現地で長い時間を共にしたのが、RiftalのCTOのAlvar Laignaだ。Riftalはブロックチェーン開発サービスの受託をしている企業だ。彼はオフィスにも招いてくれ、2人の仲間を紹介してくれた。


Riftalのパートナーたち。左から、Denis Senkevits、Taavi Larionov、筆者、Alvar Laigna

同世代のIT経営者3人。ミーティングをした後は、その知り合いが経営するレストランバーで食事をした。乾杯は地元のビール、「Pojhala」。クリエイティビティにあふれた創作料理のなかには、焼き鳥のつくねも出てきて、興味深かった。

食事をしながらスタートアップエコシステムやブロックチェーンなどの話をしたが、3人とも英語が流暢だし、シリコンバレーにいるのとなんら変わらないビジネススタンスとスピードだった。

そしてなにより、スタートアップエコシステムがオンライン上で確立されていることに驚いた。「Startup Estonia」のサイトでは、スタートアップのフェーズによって、誰の支援を受ければよいか、どのパートナーを選べばよいかが、わかりやすく掲載されている。これは便利すぎる。

その後、5つ星ホテル、ソフィテルの最上階のバーで飲んだ。タリンの一等地にあるバーから街を見ながら、エストニアの家賃の安さを聞いてまたびっくり。ソフィテルのレジデンスで、2部屋で9万円ほどという。日本で言えば銀座や六本木にあたる場所で、この金額はありえない。


タリンの旧市街、石畳の街並みが美しかった

次の日は、スタートアップの若者たちが多く住んでいるエリアを訪れた。そこは、オシャレで、ヒップで、すごく開放的で自由な雰囲気だった。壁にはグラフィティが描かれていたり、線路が途切れたところに電車をモチーフとしたカフェがあったり。ローカルのバイクを飾ったRENARDというカフェで、美味しいコーヒーとハンバーガーを食べた。

このエリアを歩いていたら、タリンでいちばん有名なコワーキングスペース、LIFT99に出くわした。ここは政府が支援するTELLISKIVI CREATIVE CITYで、新しいカルチャーをつくる場所だ。そこでつくられた服やアクセサリーなどもショップで売られていた。

すっかりこの地区に魅了されて、次の日も気づけばまた同じ場所に来ていた。アーティストやスタートアップを歓迎する空気が充満したその場所で、洒落た若者が楽しそうに卓球をしていた。LAMUUという人気店でアイスクリームを食べたが、バニラのなかにベーコンを凍らせたものが入っていて、とても美味しかった。

スタートアップとアーティストが交わる場所は、以前訪れたデンマークにもあったが、そこはアーティストの支援だけで、作品の販売はしていなかった。しかし、エストニアのこのエリアは、シンガポールとも日本ともまったく異なる雰囲気があり、新しいイノベーションと相性が良さそうだった。

スカイプを生んだ国

エストニアには、プライベートエクイティとベンチャーキャピタルをしているESTVCAやエンジェル投資ネットワークがあり、また、他国の著名ベンチャーキャピタルも巨額の投資をしている。さすが世界でいちばんスタートアップしやすい国のひとつと言われるだけある。

これまでいちばん大きな投資は、フィンテックのスタートアップ「トランスファーワイズ(TransferWise)」で、12社から合計3億9640万ドルを受けている。シリコンバレーの著名なエンジェル投資家ロン・コンウェイ率いるSV Angelもそのうちの1社だ。前述の「Startup Estonia」のサイトを見れば、エストニアのスタートアップがいかに世界中から出資を受けているかわかるだろう。

タリンではミートアップイベントなども頻繁に行われており、スタートアップ経営者同士は非常に仲が良く、互いにアドバイスしあっているそうだ。現地の人の憧れは、エストニア発で巨大企業となったスカイプだろう。他にも著名なスタートアップとしては、Funderbeam、LeapIN、 Pipedrive、Taxify、GrabCadなど多くがある。

バルト海に面した街であるタリンには、きれいなビーチもあり、そのそばにはアスレチックが楽しめる公園もあった。

超高級ホテルを借りて住んでも月々9万円、料理もお酒も美味しい。日本人はまだ120人しか住んでいないため、美味しい日本食は4軒しかないそうだが、エストニア人がやっているお寿司屋さんも意外に多くあり、便利だ。今回の旅で、これからはエストニアの時代が来ると確信した。(Fobes Japan)

 

コワーキングスペースは世界各国の都市部を中心に増えており、国内外の交流の場ともなっています。先日タイに遊びにいった仲間もワーキングスペースで仕事をする、という経験をして来ました。特に事前の下調べもせず向かったようですが、googleで検索して無事辿り着けたようです。ノマド的な生活をしているエンジニアにとって旅の拠点としてもワーキングスペースは国内外の人を集める場所として注目を集めています。スタートアップ企業は色々不足しているので、自分が作った商品をワーキングスペースに展示できる、というのはものづくりが得意な日本でもあると喜ばれる施策だと思います。

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