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トーンで感情理解 AIスピーカーに付加機能

音声による感情分析を手がけるイスラエルのスタートアップが、米アップルの「Siri(シリ)」や米アマゾン・ドット・コムの「アレクサ」などの人工知能(AI)スピーカーに話し声から人の感情を読み取らせる技術を公開した。

米アマゾン・ドット・コムの「アレクサ」
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米アマゾン・ドット・コムの「アレクサ」

ビヨンドバーバルは2012年にテルアビブで設立。数十年にわたる感情分析の知見を土台に、米メイヨー・クリニックや米シカゴ大学、米スクリプス研究所、イスラエルのハダサー医療センターなどの著名機関と共同で独自の研究を進めている。ビヨンドバーバルのデータベースでは、40カ国語、250万件以上の「感情がタグ付けされた音声」を照合できる。話の中身や文脈を考慮せず、イントネーションを分析して不安や興奮、怒りなどの感情のサインを見つけ出す。

この技術はまだ実用化されていないが、コールセンターで顧客と話しながら相手の感情を分析して関係を良くしたり、医療従事者が人の精神状態を評価したりするなどの用途が考えられる。心疾患など健康状態を見抜くのに実用できるかどうかを立証する研究も進められている。

■Siriがスマートに?

ビヨンドバーバルは21日、開発者用の新たなAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)を通じて、仮想パーソナルアシスタント(VPA)に同社の感情分析機能を導入する考えを明らかにした。

「ヘイ、アレクサ。ビートルズの曲をかけて」――。Siriやアレクサが会話を理解する能力は常に進歩しているが、機嫌を把握するのはあまり得意ではない。これこそが、ビヨンドバーバルが新たなAPIで目指す究極の目標だ。AIアシスタントが感情を読み取れるようにしたいと考えているのだ。

「今日のデジタル社会では、テクノロジーや他人との交流手段が急速に変化しつつある」。ビヨンドバーバルのユバル・モール最高経営責任者(CEO)はこう指摘する。「VPAではパーソナライズされた体験が可能になり始めている。AIという画期的技術と当社の感情分析を融合することで、パーソナライズされた技術や遠隔監視に独自の知見をもたらせる次の段階を楽しみにしている」と意気込みを示した。

では、これはどんな形で実用化できるのだろうか。「アマゾンエコー」などのスマートスピーカーに、利用者の機嫌を知る必要が果たしてあるのだろうか。

アレクサのエコシステムではサードパーティーによる多数の音声サービスが提供されていることを踏まえ、ビヨンドバーバルは多くの用途を提案している。声のトーンが沈んでいたら、アレクサが明るい曲を流してくれたり、友人が思い悩んでいるようだと伝えた上で、元気が出る映画を勧めてくれたりする。

その大半は未来向けであり、まだ誰にも考えつかない重要な用途がさらに多く存在することを覚えておいてほしい。その一つは医療だ。将来、Siriが何週間にもわたって気分の落ち込みを観察してくれるかもしれない。現在進められている研究が実を結べば、重大な病気を発見できる可能性もある。

モール氏は「当社の機能に音声病態分析を加え、VPAが声から具体的な健康状態を分析できるようにするのが当社の近い将来の目標だ」とも述べた。

■人の声を一日中受動的に集めることが不可欠

もっとも、この技術は基本レベルでいくつかの改善が必要だ。現状では、ビヨンドバーバルのAPIが搭載されたVPAと話す場合、感情分析を開始するには13秒間話さなければならず、その後は4秒おきに全ての会話を対象に分析される。だが、アマゾンエコーやアップルの「ホームポッド」とそれほど長く話す状況は考えにくい。このため、VPAが成果を出すには、人の声を一日中受動的に集めることが不可欠になる。

ある企業の広報担当者は、「今の命令形式の会話では、感情分析を実施できるほど音声を提供できない」と認める。「当社は分析に必要な音声の時間をさらに短くする機能の開発に取り組んでいる。ただし、これはまだ実用化には至っていない」と話す。

感情読み取り機能を改善するもう一つの方法は、あらゆるモノがネットにつながる「IoT」を活用し、ウエアラブルやモバイル端末、スマートカーなど様々な機器を通じて音声を分析することだ。だが、IoTの普及はしばらく先のようだ。

一方、ビヨンドバーバルは16年9月に300万ドルを集めるなど、これまでに約1080万ドルの資金をベンチャーキャピタルから調達している。AIに感情読み取り機能を普及させるというビジョンを実現するには、資金集めに全力を尽くさなくてはならない。(日本経済新聞)

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