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NYから広がる復活する街の小さな本屋さん

米ネット通販大手のアマゾン・ドット・コムが2015年11月、本社のあるワシントン州シアトルに、同社初の実店舗の書店「アマゾン・ブックス」をオープンさせ、それを機に、今後、こうした実店舗の書店の数を300~400店に拡大する計画を進めていると複数の欧米メディアで報じられました。

その計画はさらに加速・強化されており、2018年9月27日には「アマゾン・ブックス」をさらに進化させた新業態で、ネット通販での高評価商品だけを扱う「Amazon 4 Star(アマゾン 4 スター)」をニューヨーク市のマンハッタンのおしゃれなショッピング街、ソーホー地区にオープンさせたそうです(2018年9月26日付の米金融経済系ニュースサイト、ビジネスインサイダーなどによる)。

 そうしたアマゾンの戦略の影響もあってか、米国では昨今、従来型の街の小さな書店や、個人経営の小さなお店が盛り返してきているというのです。

■ノーベル賞作家も喜ぶ復活劇、なんと売り上げも…

 11月23日付の米CBSニュースや12月14日付の英紙ガーディアン(いずれも電子版)などが伝えているのですが、ニューヨーク・マンハッタンのセントラルパーク西側の高級住宅街「アッパー・ウエスト・サイド」地区で、1982年から96年まで営業していた独立系の小さな街の書店「シェイクスピア・アンド・カンパニー」が2018年11月、約22年ぶりに、元あったお店の近くで再び書店をオープン。これが大変な話題になっているのだそうです。

81年にニューヨーク市で誕生した「シェイクスピア・アンド・カンパニー」は、高尚(こうしょう)な文学作品と大学の教科書の販売で知られていました。独立系の書店ならではの地域密着路線と個性的な品揃えが受け、最盛期にはマンハッタンに4店舗、ブルックリンに2店舗を有していましたが、大型チェーンの「バーンズ・アンド・ノーブル」やアマゾンの攻勢に飲まれるなどし、業績が低迷。店舗もどんどん閉鎖に追い込まれ、2014年には絶体絶命のピンチに陥ります。

 しかし2015年、電子化された書籍のコンテンツから実物の本を作製するオンデマンドの製本機「エスプレッソ・ブック・マシン(EBM)」の開発・製造元で知られる米のベンチャー企業で、2003年にニューヨークで設立した「オン・デマンド・ブックス」が「シェイクスピア・アンド・カンパニー」の「のれん」(名称権)を買い取ります。

同時に、ニューヨークの「アッパー・イースト・サイド」(セントラルパークの東側の高級住宅街)地区に残っていた唯一の店舗(広さ約460平方メートル)を大幅にリニューアル。自社製品のEBMを導入するサービスを始めるなどし、反転攻勢の機会をうかがっていたというのです。

 今回「アッパー・ウエスト・サイド」に再登場した新店舗は広さ約230平方メートルで、昔の店舗(広さ約2800平方メートル)の約12分の1で、街の小さな書店という感じなのですが、在庫がない本は、EBMを使って約3分で製本・販売してしまうといいます。

注文は1冊でも1000冊でも問題なし。価格は150ページの本で15ドル(約1700円)です。

 オン・デマンド・ブックスのデーン・ネラー最高経営責任者(CEO)は、昨年3月、この新店舗の開業計画を発表した際、「シェイクスピア・アンド・カンパニーにおける私のヴィジョンは、常に、世界最大(の店舗網を持つ)小さい書店を作ることである」と明言。「新しい書店は、それぞれが地元のコミュニティーに根ざすと共に、顧客が日常から逃れ、スマートフォンをオフにし、リラックスしたり、くつろいだり、ぜいたくな時間を楽しんだり、読書にふけったりできる文化的聖域を提供すべきである」と訴えたそうです。

 また、ネラー氏は11月のこの新店舗のオープンに際し「人々には依然として、(実店舗の)書店に行きたいという強い要求がある。(私は)これが書店の未来だといつも信じていたし、彼ら(顧客)もそれを愛している。店舗は小規模だが在庫も無限だし、小規模であれば、より良い顧客にアプローチできる」などと胸を張ったといいます。

ネラーCEOはかつて、日本でもチェーン展開しているニューヨーク生まれの食料品チェーン店「ディーン・アンド・デルーカ」のCEOを8年間務めた経験があることから、今回の書店もコーヒーやパンの販売スペースがあるなど、本と飲食を軸にした地域コミュニティーの核となる店舗づくりがされたそうです。ちなみに2017年あたりから、バーンズ・アンド・ノーブルも店内に大きな飲食スペースを設けるなど、同じような戦略に傾いているようです。

こうした「シェイクスピア・アンド・カンパニー」の一件を報じた前述のCBSニュースは、マンハッタンの聖域での独立系書店の復活は、全米規模での動きを象徴するものであるとの論調で報じました。

 実際、米小売書店協会(ABA)の調べによると、米国内の独立系の小さな街の書店の数は、90年代半ばから2009年までの約15年間で約40%も減ったそうです。ところがこうした書店の2018年の売り上げは、前の年より約5%アップしていたというのです。

 そして、こうした動きは書店だけではなかったようです。2018年の11月21日付のCBSニュースや、同月24日付の米経済系ニュース専門局CNBC(いずれも電子版)などが伝えたのですが、この11月の第4木曜日のアサンクスギビングデー(感謝祭)の週の土曜日(11月24日)に全米規模で行われた「スモール・ビジネス・サタデー」が大盛況だったというのです。

 この催し、リーマン・ショック(2008年)から立ち直ることと、ネット通販などに押され続ける独立系や個人経営の街の小さなお店(小売店)を助けようと、クレジットカードでおなじみのアメリカン・エクスプレス社の提唱で2010年からスタート。翌11年には上院がこの催しを支援することを満場一致で決議しました。

全米各地で、街の小さなお店が協力し、地域住民にさまざまな特売サービスなどを展開するのですが、アメリカン・エクスプレス社の推計によると、今年はこの催しで、全米の人々が総額178億ドル(約2兆円)という記録的な金額を使ったそうです。この催しに参加しているお店では、こうした催しを機に、ネット通販ではなく、地元の小さなお店で買い物をする楽しさを知ってほしいと期待しているといいます。この動き、日本にも広がってほしいものです。(THE SANKEI NEWS)

ネット販売盛況な状況は今後も変わらないかと思いますが、実店舗ならではの楽しみを提供できるかどうかがポイントになるかもしれません。

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