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テック系、アクセラレーター、女性進出…トルコのスタートアップ事情

ナイジェリアのラゴス、パレスチナ自治区のガザ、インドネシアのジャカルタ。あるスタートアップイベントで入賞した参加者の出身である。日本で話題のシンガポールでも、イスラエルでもない、トルコのイスタンブールのイベント「スタートアップ・イスタンブール」での1シーンだ。

トルコのスタートアップシーンは比較的若い。この10年でインターネット人口が2倍近くになり、携帯電話ユーザーは世界で最も積極的なEコマースやネットバンキング、QRコードスキャンの利用者とも言われる。農家やシリアからの難民、街中の運送トラックの運転手などが使いこなす様からスマートフォンの浸透を感じさせる。こうした急激な変化を背景に、Eコマースを先頭に、FinTech、ヘルスケア部門をはじめ、官民挙げてのスタートアップ支援の波が来ている。

トルコ発のスタートアップで2000年に創業された、オンラインのフードデリバリーサービス「イエメキセペテ(Yemeksepeti)」がドイツのデリバリーヒーローに、2015年、5億8900万ドルで買収されたとのニュースは、若者のスタートアップ熱に火をつけたといわれる。

こうした成功例に対し、スタートアップの層の厚さを形成していくうえで欠かせないテック系スタートアップの成功はまだあまり聞かない。自身も起業経験があり、トルコのスタートアップ情報を追うスタートアップウオッチの社長セルカン・ウンスル氏も「母校であるアンカラの中東工科大学の卒業生の多くは、銀行や防衛産業、通信産業に流れて行ってしまう」と嘆く。しかし、この数年トルコのトップ1・2の理系大学である中東工科大学やイスタンブール工科大学で多数のアクセラレータープログラムが形成されている。テックベンチャーの勢いは火が付きつつあるのだ。

昨年の「スタートアップ・イスタンブール」では、ティム・ドライパーがスピーカーとして登壇した。

昨年の「スタートアップ・イスタンブール」では、ティム・ドライパーがスピーカーとして登壇した。

また、冒頭紹介したスタートアップ・イスタンブールのように、海外との接続でトルコのスタートアップシーンを変えようとの動きも進む。今年で9回目を迎える本イベントは、冒頭に紹介した3国・地域のみならず、世界140ヶ国以上、22,000人の応募者の中から参加する100社を選び抜いたという。さらに、イベントの中で起業家の事業計画を練り直すメンターの役割を担うのは、Yコンビネーターやシリコンバレーなど各地のスタートアップエコシステムで名を馳せた起業経験者だ。

このようにスタートアップに火がつく背景には、スタートアップを志す若者の海外移転への願望があるといわれる。主な移転の希望先はシリコンバレーやロンドン、ベルリン。こうした中、トルコ国内でも海外とつながるイベントをと早くに企画されたのがスタートアップ・イスタンブールだ。こちらをモデルに、中東工科大学やイスタンブール工科大学のアクセラレータープログラムの中にもシリコンバレーのメンターを提供するものや、シリコンバレーへの派遣を組み込むプログラムも出始めている。エストニア、オランダ、イギリスなども自国のエコシステムへのトルコの有望な起業家を確保しようと視察を繰り返している。

インサイダー(Insider.)

インサイダー(Insider.)

また、トルコでは、女性起業家のスタートアップへの参入も進む。「インサイダー(Insider.)」はトルコを代表するスタートアップで、現在はシンガポールを本社とし、日本をはじめ世界16カ国にオフィスを構え、日本の自動車メーカーを含む海外の大手企業を中心に包括的なデジタルプラットフォームを提供している。さらに、近年急成長している企業に女性専用フィットネスチェーンを展開する「ビーフィット(B.Fit)」がある。経営者のベドリエ・ヒュリヤ氏は米国の大学で心理学を学んだ後、2006年にトルコで起業し、現在約230のフランチャイズ網と80万人の女性顧客を持つ。同社のジムは女性が参加しやすい独自の工夫を行い、男性と一緒に運動することを躊躇していた女性を顧客に取り組んだ。

関連記事:女性起業家によるスタートアップに勢い(トルコ):JETRO

日本の一部投資家もすでに投資を実施している。日本・トルコ双方で起業経験があり、トルコ版メルカリ「ゼブラモ(Zebramo)」を立ち上げたボラ・サバシュ氏は、日本滞在時代に日本の投資家と組んでトルコの決済代行サービス「イージコ(iyzico)」への投資を決めた。トルコのEコマースへの可能性を感じてのことという。しかし、日本のトルコスタートアップへの投資は始まったばかりだ。同氏は「もともとの物理的距離に加え、双方の英語情報が足りていないため、マッチングがまとまりにくい」と指摘する。ここ数年の政治的リスクが各国の投資家のトルコのスタートアップエコシステムへの国際的関心をそいだ面もある。上記イベントから垣間見えるのはスタートアップの新たなハブとなるポテンシャルを有した国の新たな一面といえないだろうか。

お知らせ

【10/29 東京・大手町】Trend Note Camp #19 未知なる黒海周辺スタートアップ〜トルコ、アルメニア、ジョージア、ウクライナ

トルコ、アルメニア、ジョージア、ウクライナと聞くと何を思い浮かべますか?治安情勢、親日家などニュースで見聞きすることや観光スポットとしての印象が強いですが、FinTechやブロックチェーン等テクノロジーへの取組が進みつつあるエリアでもあります。

加えて、ジョージアは世界銀行が毎年発表する「ビジネス環境ランキング」で9位(とくに、事業設立の容易性4位)と、日本の34位を大幅に上回り、トルコは2023年までに世界10位の経済規模を目指し、5Gをはじめとした国産開発を強化。ウクライナやアルメニアは、昨年日本との外交関係25周年を迎え、強みとするITや研究分野での日本企業との連携を望んでいます。(addlight journal)

ビジョン実現のためには、個人事業にとどまるわけにいかない。小田原初のゲストハウスを立ち上げた梅宮勇人さんが、“2人の壁”を越え、事業規模拡大へと向かう本当の理由

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