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フォーブスが選ぶ30歳未満、欧州版で唯一リスト入りした日本人

毎年、世界で活躍する30歳以下の起業家、イノベーター、アーティストたちが選出されるForbes 30 Under 30。2017年、その欧州版「30Under30 Europe」に日本人として初めて選出されたエネチェンジの城口洋平が、同じく選ばれた同世代のリーダーたちと対談する連載企画がスタート。

第0回として、城口に30Under30に選出されるまでの起業家としての経緯、そして日本と異なるヨーロッパの起業環境について語ってもらった。


現在、家庭向け電力・ガス切り替えサービスであるエネチェンジ社と、電力データ解析サービスSMAP ENERGY社の2つの会社の代表取締役会長を兼任しています。

昨年、「Forbes 30 Under 30 Europe」に選んでいただいたのは、ヨーロッパと日本を拠点に従業員100人以上の規模でエネルギー企業を経営し、上場を狙える位置にいること、そして英ケンブリッジ大学から出資を受け、さらにEUが出資しているベンチャープログラム「Climate-KIC」からも出資を受けており、ヨーロッパから見ても分かりやすい基準を満たしていたからではないかと思っています。

この連載企画では、30 Under 30に選ばれた同世代の起業家やリーダーたちとの対談を通して、日本とヨーロッパ、世界での起業文化、ビジネス文化の違いや、彼らが今考えていることを伝えていきたいと思っています。その前にまず、自己紹介から始めたいと思います。

(東京大学の学生だった)2011年3月、東日本大震災が起こり、非常に心を痛めました。被災地には毎週のように赴きましたが、実際には瓦礫撤去程度しか役に立てず、歯がゆさを感じました。また原発事故のような問題に関しても、もっと取り組みたいと思いました。それがきっかけでエネルギー問題に興味を持ち、その分野で、少なくとも日本人では誰にも負けない専門性を身に付けるために、12年に英ケンブリッジ大学のエネルギー工学修士・博士課程に進学することを決めました。

米国ではなく英国を選んだのは、日本がエネルギー制度において英国を参考した歴史的経緯もあり、制度に共通点があるからです。ヨーロッパのエネルギー分野に関して事情通になることが、日本のエネルギー改革を推し進める上で非常に重要になってくると考えました。

ケンブリッジ大学ではエネルギーの効率化、省電力化を研究する研究室に籍を置いていましたが、機械学習の世界的権威の一人である、ズービン・ガーラマニ教授の研究室の隣でした。14年にグーグルに買収されたことで有名になった「ディープマインド」を輩出した研究室です。エネルギーの効率化には機械学習の技術も重要になるため、私も1年目は教授の授業を取っていました。ディープマインドの創業者、デミス・ハサビスとも同じレクチャーを受けており、幸運にも、彼らの存在が身近でした。

私とハサビスの共通点は、最初から起業を目的にケンブリッジの博士課程に籍を置いていた、ということです。お互いに、この3~4年の間にいい起業仲間を探して、絶対に会社を作ってやろう、と思っていました。

これは余談ですが、キャンパス内で他の学生のアテンションを集めるために、2人とも戦略的に目立つポルシェに乗っていました。学生でポルシェに乗っていたのは、私と彼の2人だけだったと思います。今も多くの友人がディープマインドのアルファ碁に関わっています。“AI(人工知能)のメッカ”のような場所に、唯一の日本人として関われたのはよかったと思っています。

そのようにケンブリッジで博士課程の研究に励んでいた頃、ある日本人のエンジェル投資家の方との出会いがあり「研究するだけではなく、会社にした方がいい」と仰って、1億円を置いて帰ってくださりました。その1億円を元手に「日本と世界のためになるような事業を作れ」と。

そこで、その資金を元手に13年末、日本から2人、ヨーロッパから4人採用をして現在の2社の前身となるケンブリッジ・エナジー・データ・ラボを設立しました。研究室よりも実用化を視野に入れた、事業モデルの模索のためのラボです。

興味の赴くままにいくつかのモデルを試しましたが、その中でうまくいったのが現在のエネチェンジとSMAP ENERGYの事業です。15年にエネチェンジ、16年にSMAP ENERGYのプロダクトをスピンアウトし、メンバーも全員移り、ラボを閉鎖しました。そしてケンブリッジを卒業した17年に2社を経営統合しました。

他のビジネスとは異なり、エネルギー業界は巨大で、改革のスピードもゆっくりです。過去約100年にわたりオイルとガソリンに頼ってきた時代は、一昼夜で変わりません。しかし改めて今、車も電化、電気もデータ化に移行しています。電力業界は「100年に一度の変革」を迎えている段階です。16年には電力自由化、17年にガス自由化、20年には発送電分離があります。電気メーターは現在段階的にスマートメーターと呼ばれるデジタルのメーターに置き換わってきており、24年までに完了します。15年から20年後半のスパンで、大きな業界構造の変革があるのです。

それを見据えて、ケンブリッジでは研究に打ち込み、起業に関しても13年の時点ですぐにビジネスではなく、まずは「ラボ」という形で始めました。おかげでこの分野で、少なくとも日本人では誰にも負けない専門性を身に付けることができ、若手では珍しく経産省の省エネ委員会のオブザーバー委員にも声をかけていただくなど、今に生かされていると思っています。

現在は月の半分はイギリス、半分は日本で活動しています。日本とヨーロッパの起業環境の違いは、ヨーロッパではパリ協定の影響もあり、エネルギーベンチャーをはじめ、クリーンテックへの注目度が高い、ということでしょうか。私も電気の消費を効率化するベンチャーとしてヨーロッパで行われるクリーンテック系のカンファレンスにはよく呼ばれます。

また、「Climate-KIC」というEUが出資しているクリーンテック関連のベンチャープログラムがあり、年間20社程ヨーロッパ中から選ばれます。SMAP ENERGYもイギリス枠のひとつとして選ばれましたが、「Forbes 30 Under 30 Europe」の起業家・テックカテゴリー60人の枠に対して、この「Climate-KIC」から13人も選ばれている、といういわば登竜門的なプログラムです。

またクリーンテックには技術が必要になるので、PhD(博士課程)を出た人たちが多い、という特徴もあります。オックスフォードやケンブリッジのラボから派生したアカデミックな色の強いベンチャーが多いと思います。

次回の記事で対談するスーザン・グラハムという女性は、オックスフォードでドローン制御を研究していました。「Forbes JAPAN」5月号(3月24日発売)にも掲載されていますが、今はドローンを使って植林をする会社、バイオカーボン・エンジニアリング社の共同創業者でCTO(最高技術責任者)をしています。

ドローンで穴を掘り、水をやり、肥料まで入れる。ドローンとAI技術を使って、より効率的に世界中に500億本の木を植えることが目標だと言います。NPO法人ではなく、企業からの依頼を受け、ビジネスとして行っています。

これからの対談も、そういった、アメリカや日本とも少し色が異なる、起業家やリーダーたちに会って話を聞きたいと思っていますので、楽しみにしていただければと思います。(Fobes)

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