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(後)未来のユニコーンを育む 世界のスタートアップ都市2

2010年ごろからIT業界にはリスクマネーが供給されるようになり、自己資金や当初売り上げがなくても創業できる、スタートアップという事業形態を頻繁に目にするようになった。

5年ほど前からは、世界各国の政府が自国にスタートアップハブを作ることにしのぎを削り始めた。スタートアップハブとは、スタートアップが集積した地域であると同時に、そこに集まる起業家や投資家などで構成される人的なコミュニティーを指す。シリコンバレーというスタートアップハブが、スタンフォード大学やフェアチャイルドセミコンダクターの存在によって言わば自然発生的に生まれたのとは対照的に、各国政府は恣意的に、スタートアップハブを作り出すとしている。

イギリス政府は税制面での優遇策などでロンドン東部に「テックシティー」を形成、チリ政府は世界の有望スタートアップを呼び寄せ、現地の起業家と半年間協働すれば4万ドルを無償提供する「スタートアップチリ」を展開、ポルトガルのリスボン市は世界最大のスタートアップイベント「ウェブサミット」に数億円を支払い、同イベントの開催地をアイルランドのダブリンからリスボンへと変更させた。アジアの国々においても、「スタートアップをするなら、わが国・街へ」を合言葉に、起業家へのビザ支給プログラムや助成金拠出プログラムなど、スタートアップ誘致の動きには枚挙にいとまがない。

上場をしていない段階で会社の時価総額が10億ドル(約1130億円)に達しているスタートアップのことを「ユニコーン」と呼ぶ。日本では、メルカリなど、ユニコーンはまだ片手で数えられる程度しか存在しないが、世界には、すでに200以上のユニコーンがいて、消費欲旺盛な市場を味方につけた中国のスタートアップが、リスト全体の半数ほどを占める。

iNTERNET magazine Reboot「世界のスタートアップ都市」

ユニコーンの数ではシリコンバレーも負けていないが、シリコンバレーのスタートアップがすべてアメリカのスタートアップとも言い切れない。世界中で生まれた多くのスタートアップが潤沢な資金と優秀な人材へのアクセスを求めて、シリコンバレーにやってきているからだ。すなわち、潤沢な資金と優秀な人材さえ提供されれば、彼らはどこでだってやっていける。スタートアップにとって極端に条件の良い国や都市が現れれば、次の日に本社を移すスタートアップだって出てくるだろう。

スタートアップの中には特定の国や地域を対象としているものも存在するが(日本ではその比率は大きいが)、そうでなければ、そのスタートアップがグローバルになればなるほど(世界のユーザーにサービスが受け入れられれば受け入れられるほど)、拠点をどの国や都市に構えるかの自由度は高くなる。グローバルなサービスで成功するには、多種多様な価値観を受け入れやすい国民性が追い風になるだろう。シリコンバレーという域内での価値観が意外に画一的であることを考えると、世界にインパクトを与えるような大きなイノベーションの波は、多民族で小国がひしめき合うヨーロッパからもたらされるのではないかと、筆者は見ている。(INTERNET Watch)

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